弁護士法人の営業許可 [旬の話題]
アディーレ法律事務所が新規事業として今年8月に設立した株式会社アディーレ・フードサービスが、サンシャイン60に出店する「北陸富士回転寿司かいおう」という名称の回転寿司屋の店長とスタッフの求人広告をしているようだ。(http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/company/cmi3143952001/)
特にコメントはない(アディーレのやっていることを支持してるわけではない)が、弁護士事務所が寿司屋を経営するのと同じなわけで、こんなこと許されるのかと思ったが、自分の間違いだった。
弁護士が営業をするには許可が必要とされていたが、平成15年に許可制から届出制へと規制が緩和されていた。そのため、弁護士が寿司屋を経営することは単位会に届出をすれさえすれば、オーケーというわけだ。
疑問が晴れたと思った矢先、アディーレの求人では、回転寿司店を経営する株式会社アディーレ・フードサービスが弁護士法人アディーレ法律事務所グループと記されるので、弁護士法人自体が営業届出をすることは可能なの?っという次の疑問が沸いてきた。
この点は、弁護士の営利業務の届出を規定する弁護士法30条1項1号が、弁護士法人には準用されていないので(同法30条の11)、弁護士法人が営業届出をすることは出来ないことになる(ようだ)。この点、日弁連や単位会である愛知県弁護士会の届出規程も、弁護士法人ではなく、弁護士が営業届出をすると規定しているので間違いないであろう。 弁護士法人の業務範囲について弁護士法30条の5が規定しているが、飲食店経営は許容されている業務ではないので、弁護士法人による営業の届出は、そもそも不可であることになる(間違ったことを書いていたので、内容を訂正するとともに、弁護士法30条の5等の関連条文を末尾に載せておく。)
株式会社アディーレ・フードサービスの登記を調べてみたところ、同社の取締役に、石丸幸人、田邉英幸、嶋口亮の3氏の就任登記がされていたが、嶋口亮氏の弁護士登録はないので、嶋口氏は弁護士でないようだ。ということは、石丸氏と田邉氏の二人が登録している東京弁護士会にアディーレ・フードサービスの取締役就任を届出をしているということとなろう。
求人広告では、「アディーレ法律事務所が新規事業として今年8月に設立した株式会社アディーレ・フードサービス」と記されているが、「弁護士法人が営利法人に出資することは許されているのだろうか?」という疑問も沸いてきたが、弁護士法人が上場会社の株式を資産として保有したのと同じなわけであるわけであるから、弁護士法人が営利法人に出資ぐらいは何も問題はないのだろう。
アディーレの広告は、これまで、考えたこともなかったことを色々考えさせてくれた。ありがとうと言いたいところだが、あー、世知辛いなという感想しか残らなかった。
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