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暴力団排除条例ハンドブック 2

暴力団排除条例ガイドブックを発行する レクシスネクシス・ジャパン(株) の「BUSINESS LAW JOURNAL」の[書籍] 暴力団排除条例ガイドブックのページで、平成23年12月22日通達に関する更新情報を見つけました(http://businesslaw.jp/bohai/)。     

           

2012年2月3日更新           

■平成23年12月22日警察庁通達について

 平成23年12月22日、「暴力団排除等のための部外の情報提供について(警察庁刑事局組織犯罪対策部長通達)」が発出されました(http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kikakubunseki/bunseki/kibun20120124.pdf)。

これは本書で言及している「暴力団排除等のための部外の情報提供について(警察庁暴力団対策部長通達、平成12年9月14日)」を廃止し、警察としての考え方を改めて示したものです。この新通達は、警察の情報提供の方針を大きく変えるものではないと考えられます。したがって、事業者として、取引先等の属性を確認すべき自助努力が引き続き求められることは変わりません。本書で12年通達としている部分は、23年通達として下記のように読み替えてください。

 (略)

167頁3行目から5行目

警察による情報提供は、「当該情報が、暴力団排除等の目的達成のために必要不可欠であり、かつ、警察からの情報提供によらなければ当該目的を達成することが困難な場合に行う」こととされている。

→警察による情報提供は、「当該情報が暴力団排除等の公益目的の達成のために必要であり、かつ、警察からの情報提供によらなければ当該目的を達成することが困難な場合に行う」こととされている。

 

この更新情報の説明では、平成23年12月22日の「新通達は、警察の情報提供の方針を大きく変えるものではないと考えられ」るとし、警察による事業者への暴力団情報の提供は、「警察からの情報提供によらなければ当該目的を達成することが困難な場合に行」われるとなっています。

私の理解とは全く違うようです。

ここは大事なところなので、再度、私の見解を述べさせていただきます。

平成23年12月22日「暴力団排除等のための部外の情報提供について」(警察庁刑事局組織犯罪対策部長通達)の解釈が問題となっていますので、長くなりますが通達の本文を全文引用します。

 

暴力団排除等のための部外への情報提供について

暴力団情報については、法令の規定により警察において厳格に管理する責任を負っている一方、一定の場合に部外へ提供することによって、暴力団による危害を防止し、その他社会から暴力団を排除するという暴力団対策の本来の目的のために活用することも当然必要である。

近年、各都道府県警察において、暴力団排除条例(以下「条例」という。)が施行され、事業者が一定の場合に取引等の相手方が暴力団員・元暴力団員等に該当するかどうかを確認することが義務付けられるとともに、暴力団が資金獲得のために介入するおそれのある建設・証券等の業界を中心として、暴力団員に加え、元暴力団員等を各種取引から排除する仕組みが構築されている。

一方、暴力団は、暴力団関係企業や暴力団と共生する者を通じて様々な経済取引に介入して資金の獲得を図るなど、その組織又は活動の実態を多様化・不透明化させている。このような情勢を受けて、事業者からのこれらの者に関する情報提供についての要望が高まっており、条例においても事業者等に対し、必要な支援を行うことが都道府県の責務として規定されているところである。

以上のような情勢の変化に的確に対応し、社会からの暴力団の排除を一層推進するため、暴力団情報の部外への提供については、下記のとおりとするので、その対応に遺漏のないようにされたい。

 なお、「暴力団排除等のための部外への情報提供について」(平成12年9月14日付け警察庁丙暴暴一発第14号)は、廃止する。

 

上記通達では、警察による事業者への暴力団情報の提供は、暴力団排除条例において都道府県の責務として事業者等に対し必要な支援を行うことが規定されたを受けて、この条例上の義務の履行となると位置付けているものと理解することができます。

この理解が正当であることは、第3、第1項第1号アにおいて「条例上の義務履行の支援に資する場合その他法令の規定に基づく場合」と規定し、「(暴力排除)条例上の義務履行の支援」を、警察による暴力団情報の提供が「法令の規定に基づく場合」の例示としていることからも明らかであると言えます。

つまり、暴力団排除条例上の事業者の義務履行の支援のために、警察が事業者に対する暴力団情報を提供することは、法令の規定に基づいたものであると、少なくとも、警察庁では理解されていることになります。

   平成23年通達の「第1 基本的考え方」の第4項に、「相手方が行政機関以外の者である場合には、法令の規定に基づく場合のほかは、当該情報が暴力団排除等の公益目的の達成のために必要であり、かつ、警察からの情報提供によらなければ当該目的を達成することが困難な場合に行う」という規定があることはあります。

確かに、この規定が適用される場面では、公益目的を達成することが困難な場合にしか警察から暴力団情報の提供を受けることが出来ないことになりますね。

しかし、この規定の適用範囲はどうなんでしょうか?

「法令の規定に基づく場合」は適用範囲外ですね。

したがって、暴力団排除条例上の義務履行の支援として、事業者が警察に暴力団情報の提供を求めている場合には、この規定の適用はありません。なぜなら、「法令の規定に基づく場合」は範囲外だからです。

法令の規定に基づく暴力団情報の提供については、上記の第4項には何も規定されていません。せいぜい、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律及び個人情報保護条例の規定に従って行う」と規定しているだけです。

 

4  情報提供の正当性についての十分な検討

 暴力団員等の個人情報の提供については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律及び個人情報保護条例の規定に従って行うこと。特に、相手方が行政機関以外の者である場合には、法令の規定に基づく場合のほかは、当該情報が暴力団排除等の公益目的の達成のために必要であり、かつ、警察からの情報提供によらなければ当該目的を達成することが困難な場合に行うこと。

 

平成23年の通達は、暴力団排除条例上の事業者の義務履行を支援するという視点から、一定の基準に従いつつ、可能な範囲で積極的かつ適切な情報提供を行うことを規定しているとしか私には読むことが出来ませんが。

警察の暴力団情報提供のスタンスは従前と変わらないという解釈もあるんですね。 


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コメント 1

愛知県警の実務を教えて下さいよ。。。

先生の独自の解釈は、望んでません。。。。
机上の空論。
by 愛知県警の実務を教えて下さいよ。。。 (2012-03-21 00:37) 

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