SSブログ

大阪市の入れ墨調査と組合の対応 [検討]

大阪市が全職員に実施した入れ墨調査で15人の職員が「プライバシーの侵害だ」、「調査手法がおかしい」などと言って回答を拒否していているそうで、

大阪市の橋下市長は、その15名の職員に対し、職務命令違反に当たるとして、減給か戒告の懲戒処分にする方針だということだそうです(30日のYOMIURI ONLINE 「大阪市入れ墨調査、15人回答拒否…懲戒処分へ 」 )。

大阪市が、回答拒否をした15名の職員を懲戒処分に処するためには、大阪市が職員に発した「入れ墨調査」の職務命令が有効でないといけませんが、有効と言えるでしょうか。

私は大阪市の入れ墨調査を職務命令として発するのは有効だと考えますが、無効だと考える人も(それなりに)おみえです。

例えば、大阪労働者弁護団は、2012年5月8日に「大阪市による全職員対象『入れ墨に関する調査』の中止を求める声明」を発表し、同声明の中で、記名式の入れ墨調査は人権侵害であると表明しています。

大阪労働弁護団は、入れ墨調査が人権侵害だと言っているだけとも読めますが、同弁護団の立場では、「大阪市の入れ墨調査の職務命令は人権侵害であるので無効である。

したがって、職員に(入れ墨調査に関して)職務命令違反があったとしても、その職務命令自体が無効なので、市職員を懲戒処分に処することはできない」ということになると思われます。

それでは、大阪労働弁護団は、何を根拠にして、大阪市の入れ墨調査の職務命令が無効だというのでしょうか。

大阪労働弁護団の「大阪市による全職員対象『入れ墨に関する調査』の中止も求める声明」を読んでみますと、

人が身体に入れ墨やタトゥー(以下「入れ墨等」という)を施すことは、個人の表現の自由であり、幸福追求権人格権の一発露であり、プライバシーである。

入れ墨等を施し、これを他人に見せるか見せないか、知らせるか知らせないかは全く個人の自由であって、何人からもその存在を意に反して表明することを強制されるべきものではない。

と述べられています。

大阪労働弁護団の声明では、入れ墨調査が、市職員の「表現の自由」、「幸福追求権」、「人格権」、「プライバシー権」を侵害するということを論拠にするということが分かりました。

世の中にはいろいろな考え方がありますね。

大阪労働弁護団の見解が正しいのか、有効だと考え私の見解が正しいかは、今回の入れ墨調査についても、裁判所が調査の有効性を判断することになるでしょう。

そのため、私としては、入れ墨調査の有効・無効については、これ以上、何も述べないことにします。

今年2月の第三者チームが行った「組合活動に関する職員アンケート」では、大阪市職員が加入している労働組合を含め、多くの労働組合がアンケートに猛烈に反発し、意見表明していました。

ですが、今回の入れ墨調査では、労働組合からの活発な意見表明はなされてないようような気がします。

組合の意見表明が、何か低調なような気がしますが、実際はどうなんでしょう。

2月16日のブログ(「大阪市の労組事務所の退去請求」)で触れましたが、大阪市の場合ですと、大阪市職員が加入している労働組合としては、大阪市職員労働組合・大阪市従業員労働組合・大阪交通労働組合・大阪市水道労働組合・大阪市立大学教職員労働組合・大阪市立学校職員組合・大阪市学校給食調理員労働組合の7つの労組が存在しています。

そして、その7つの組合の上部団体として大阪市労働組合連合会が存在しています。

この、7つの組合の上部団体である、大阪市労働組合連合会はホームページを持っていますが、同組合のホームページの「最新情報・お知らせ」では、「・「入れ墨に関する調査」を実施した市側姿勢に抗議する!(2012年5月8日)」というお知らせが出ています。

この「『入れ墨に関する調査』を実施した市側姿勢に抗議する!」とのタイトルをみれば、「大阪市労働組合連合会が、大阪市の入れ墨調査に抗議すると表明したんだろう」 と推測してしまいます。

しかし、大阪市労働組合連合会は、「『入れ墨に関する調査』を実施した市側姿勢に抗議する!」と書かれていますがで、実際には、何も意見表明をしていません。

「『入れ墨に関する調査』を実施した市側姿勢に抗議する!」では、大阪労働弁護団が 「大阪市による全職員対象『入れ墨に関する調査』の中止を求める声明」が出したということを報告しているだけです(「「入れ墨に関する調査」を実施した市側姿勢に抗議する!」)。

タイトルだけを見て、本文をちゃんと読まないと、騙されちゃいますね。

よく、こんな「「入れ墨に関する調査」を実施した市側姿勢に抗議する!」というお知らせを出しますね。

大阪市職員労働組合ほか7つの労組の上部団体である大阪市労働組合連合会は、入れ墨調査について意見表明をしていないことが分かりましたが、大阪市職員労働組合ほか7つの下部組合はどうでしょうか。

まず、ホームページを持っている大阪市職員労働組合と大阪市従業員労働組合の大阪交通労働組合の3つの労組について確認してみましたが、全滅でした。

入れ墨調査についてホームページでは全く触れられてませんでした。

残る、大阪市水道労働組合、大阪市立大学教職員労働組合・大阪市立学校職員組合・大阪市学校給食調理員労働組合の4つの労組についても調査をしたいところですが、それら4つの労働組合はホームページを持っていないため調査ができませんでした。

おそらく、これら4つの労組も「入れ墨調査」に対する意見表明はしていないでしょうが、裏取りが出来ませんでした。

思いますに、「入れ墨調査」が許容できるかという論点では、組合内での組合員の意見が分かれたのでしょう。

そのため、組合調査の場合とは異なり、労組としての意見を示せなかったのではないかと思いますが、どうでしょうか。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0