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ファーストサーバの慈悲 [検討]

今月20日にレンタルサーバー会社のファーストサーバ(大阪市)でデータ消失事故が発生したということですが、被害に遭った顧客は5698件でほとんどが復旧不可能な状態だということです。

26日の日経のニュースの深層「ファーストサーバ障害、深刻化する大規模『データ消失』  ヤフー子会社、クラウド時代の盲点を露呈(ネット事件簿)」が、発生原因の説明を含め、一番詳細で適切な説明をしています。

この記事の説明によると、事故原因は、更新プログラムの重大なバク(不具合)、

具体的には更新プログラムに「ファイル削除コマンド」を停止させるの記述漏れと、メインテナンスの対象となるサーバ-群を指定する記述漏れがあった

ということだそうです。

同一のサーバーに、データをバックアップしていたため、バクのある更新プログラムがバックアップしてあるデータも根こそぎ削除してしまったというわけです。 

ファーストサーバは事故の賠償について、「6月20日に発生した大規模障害に関する『「よくあるご質問』」の「損害賠償に関するご質問」で箇所で、 、「サービス利用約款に基づいて、お客様にサービスの対価としてお支払いいただきた総額を限度額として、損害賠償させていただきます。」などと説明をしています。

具体的には、

 ?    賠償金額は?

   サービス利用契約約款に基づいて、お客様にサービスの対価としてお支払いただいた総額を限度額として、損害賠償させていただきます。

 ?    機会損失も含めて請求するが良いか?

 A    誠に申し訳ございませんが、機会損失は損害賠償の対象とさせていただく予定はございません。

 ?    環境境再構築にかかった費用は補償してくれるのか?

 A    補償いたします。ただし、誠に申し訳ございませんが、損害賠償の限度額の範囲での補償となります。

となっています。

ファーストサーバの約款では、第16条3項で、ファーストサーバ側にバックアップの手落ちがあろうと免責されるという規定が設けられています。

また、ファーストサーバが損害賠償義務を負う場合でも、第36条で、「契約者が当社に本サービスの対価として支払った総額を限度額として賠償責任を追うものとします」と損害賠償額の予定もされています。

ファーストサーバの言い分としては、

「免責規定があるから、損害賠償をせんでもいいんだけど、これまでサービスの対価として支払ってくれた使用料分は賠償してあげることにするので、それだけでもありがたく思ってね」

ということなのでしょう。

でも、そんなファーストサーバの虫のいい主張に、全ての顧客が従うということはありえないでしょう。

間違いなく訴訟が多発する予感がします。

バックアップを外部でしていないのであれば、更新プログラムが誤ってバックアップデータを削除しないようプログラムが作られていなければならないのに、そのようには作成されていなかったというわけです。

それだけで、ファーストサーバに重過失ありというような気がします。

もし、ファーストサーバに重過失があると判断された場合に、約款に従い、使用料を上限とした責任を負わないという結論は妥当と判断されるとは思えません。

どういう理屈で約款の効力が制限されるという主張をするのか、また、裁判所がどのような判断をして約款の効力を制限する判断をするのか、なかなか興味があるところです。 

(註記)

ファーストサーバの「レンタルサーバサービス利用約款

 第16条(データ等の保管およびバックアップ) 

  1.  契約者は、本サービスが本質的に情報の喪失、改変、破壊等の危険が内在するインターネット通信網を介したサービスであることを理解した上で、サーバ上において利用、作成、保管記録等するファイル、データ、プログラム及び電子メールデータ等の全て(以下「契約者保有データ」といいます。)を自らの責任において利用し、保管管理し、且つ、バックアップするものとします。

2.  当社は、システム保安上の理由等により、契約者保有データを一時的にバックアップする場合があります。ただし、当該バックアップは、契約者データの保全を目的とするものではなく、当社が契約者からの当該バックアップデータの提供要求に応じる場合であっても、当社は、当該データの完全性等を含め何らの保証をしません。

3. 契約者が契約者保有データをバックアップしなかったことによって被った損害について、当社は損害賠償責任を含め何らの責任を負わないものとします。

第35条(免責)

 6. 当社は、本サービスに関連して生じた契約者および第三者の結果的損害、付随的損害、逸失利益等の間接損害について、それらの予見または予見可能性の有無にかかわらず一切の責任を負いません。

8. 本条第2項から第6項の規定は、当社に故意または重過失が損する場合または契約者が消費者契約法上の消費者に該当する場合には適用しません。

第36条(損害賠償額の制限)

本サービスの利用に関し当社が損害賠償義務を負う場合、契約者が当社に本サービスの対価として支払った総額を限度額として賠償責任を負うものとします。 


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コメント 3

NO NAME

http://www.idcf.jp/pdf/hostingservices.pdf
兄弟会社のIDCフロンティア (ファーストサーバ同様ヤフーが100%の株式を持つ)のホスティングサービスに関する契約約款です。
第6章 25条第2項、例外があるにしても、とてもまともな約款とは考えられません。
by NO NAME (2012-06-30 19:04) 

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by 英語を書く (2013-05-31 21:43) 

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共有していただきありがとうございます。
by 英語を話してください (2013-05-31 21:44) 

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