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事務所所長の弁護士が、法テラスに残業代を請求する訴訟を提起していた件 [旬の話題]

法テラスの事務所所長として勤務をしていた弁護士が、残業代の支払いを求め、法テラスを訴えていた訴訟で、一昨日(20日)、法テラス側が約60万円の和解金を支払うことで和解が成立したとのことです。

この訴訟を、読売新聞が今年4月24日に報じた際、

超過勤務手当など約109万円の支払いを求める訴訟を八戸簡裁に起こし(た)

と報じていました(今年4月24日のYOMIURI ONLINEの記事「残業代求め、法テラスを提訴…常勤弁護士」)。 

 

ですが、和解を報じた、昨日20日の読売新聞東京朝刊32頁の記事(「法テラス側が和解金」 (全172字))は、

超過勤務手当など約210万円の支払いいを求めた訴訟は20日、青森地裁八戸支部で和解が成立した。法テラス側が約60万円の和解金を支払うほか、常勤弁護士制度を改善することで合意した。

と報じています。

(なお、この21日の読売新聞の記事は、YOMIURI ONLINE では配信されていないようで、インターネット上では閲覧できません。)

 

2つの記事の内容を読み比べてみると、

4月の時点では、訴訟は八戸簡裁に提起されたとなっていたのに、昨日の記事では、八戸簡裁ではなく、青森地裁八戸支部で和解が成立したとなっている点

また、請求額が、4月の時点は、超過勤務手当約109万円となっていたのに、昨日の記事では約210万円が請求額であったかのような記事となっている点

で、記事の内容にズレが生じています。

どうして、記事の内容にズレが生じているのでしょうか。

訴訟の当事者に確認するのが間違いありませんが、そんなことは出来ません。

そこで、想像をしてみるしかない訳ですが、

想像するに、

八戸簡裁が、地裁に訴訟を移送する決定をしたため、訴訟の移送を受けた 青森地裁八戸支部 が審理をすることになった(民事訴訟法18条)

と、また、

原告が、請求の拡張をして、付加金(労基法114条)の支払いを請求に加えたため、

109万円×2倍 ≒ 約210万円の請求ということとなった

ということなのではないかと、私は思っています。

民事訴訟法

(簡易裁判所の裁量移送)

第18条  簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送することができる。

労働基準法

(付加金の支払) 

第114条  裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第三十九条第七項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から2年以内にしなければならない。

 

今回の訴訟での争点は、

法テラスの事務所所長であった勤務弁護士は、労基法の労働時間規制が適用除外とされることになる 「 管理監督者 」(労働基準法41条2号)に該当するか

となります。  

     

この管理監督者の認定ですが、

使用者側からみると、結構、

「ハードルが高い」

と言うことになっています(厚労省の「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」 参照)。

労働基準法

(労働時間等に関する規定の適用除外)

第41条  この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

 別表第一第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたも者

    
法テラスが和解したのも、そんな訳からなのでしょう。

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