財産開示手続 [感想]
平成15年の民事執行法の改正では、「財産開示手続」という、
強制執行の実効性を確保するため、債務者の財産を把握するための制度(仕組み)が新設されました(民事執行法196条)。
この財産開示手続ですが、
債務者を裁判所に呼出して、債務者に財産の内容を陳述させる
という仕組みの制度ですが、
運用の実態を見てみますと、
債務者は、裁判所からの呼出を無視して、期日に出頭しなくても、30万円の過料を払えば済んでしまう、
ような、全くもって実効性がない制度です。
この財産開示手続は、平成15年の民事執行法改正法が施行された平成16年4月1日から、利用が可能となりましたが、
当時、私は、この制度に多大な期待を(勝手に)抱いていました。
そんなわけで、施行日当日の平成16年4月1日には、勇躍して、名古屋地方裁判所と津地方裁判所に、財産開示手続
の申し立てをし、名古屋と津での、
平成16年(財チ)第1号
の事件番号を取ったりしたものでした。
ですがこの手続、全くの期待外れでした。
これまで5回の財産開示手続の申立てをしていますが、
債務者が期日に出頭して、いい加減な内容でも、兎に角、財産目録を出しさえすれば、債務者は何らのお咎めなく、やり過ごしが出来てしまう
ため、不愉快な思いをさせられてばかりです。
仕組みを知っている債務者からすれば、
簡単にやり過ごしが出来る、チョロイ 仕組み
ぐらいにしか思っていないと思います。
せいぜい、制度の仕組みをよく知らない、ウブな債務者が、
期日に出頭しないで、過料として30万円を払わされることになる
だけのことです。
とは行っても、先日、後輩の弁護士から、
財産開示手続の申立てをしたら、債務者が全額支払ってくれた
との財産開示手続の多大なる戦果を聞いたりもしています。
もしかすると、私の考えが 歪んでいるだけなのかもしれません。
上のグラフは、平成16年度以降の地裁における財産開示手続の新受件数をグラフとしたものです。
データは司法統計から取ったものです。下のはそのデータです。
グラフからは 「増えて、 減って、また増えた」という傾向が伺えますが、
件数が増えたと言っても全国で 1,200件程度のことです。
財産開示手続が、あまり利用されていないことは間違いないようです。
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