ダニ媒介の新型感染症 [感想]
厚生労働省は昨日(1月30日)、
ダニが媒介する、
「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)という名称のウイルス感染症によって、
山口県の成人女性1人が昨年秋に死亡したと発表をしました(共同通信の1月31日の記事「ダニ媒介の新感染症で死亡 国内初、山口の成人女性 厚労省が情報収集」参照)。
この厚労省の発表した内容は、
厚労省自身も、ホームページの
「中国で近年報告されている新しいダニ媒介性疾患の患者が国内で確認されました」
において閲覧が可能です。
このホームヘージに公表された資料を見てみますと、SFTSの致死率について、
「(別添1)病原微生物検出情報(IASR)速報 国内で初めて診断された重症熱性血小板減少症候群患者(PDF:KB)」という資料では、
「致死率は10%を超える」としています。
が、「(別添2)重症熱性血小板減少症候群について(PDF:KB) 」という資料では、
「致死率は約10-30%(中国において、2009年当初は報告例が少なく致死率30数%であったが、その後調査が進み、10数%となっている)」
としています。
このように 別添1の資料と、別添2の資料では SFTSの致死率の表現の食い違いがあり、
資料の読み手側が勝手に解釈できるかのような余地を残したままとなっています。
「約10-30%」、「中国での現時の致死率10数%」、「10%を超える 」の、
いずれが正しいSFTSの致死率だと理解をすればよいのでしょうか。
このようにネタ元の厚労省の発表内容が曖昧であるためなのか、
SFTSの致死率について、
先の共同通信の記事では、 「致死率は12%程度」と報じているのに対し、
朝日新聞は「致死率は10~30%」と、
また、NHKは「致死率は10%を超える」と、
それぞれ てんでばらばらな報道をしています。
中には、読売新聞のように、SFTSの致死率を報じていないところもあります(30日の「ダニがウイルス媒介、山口で女性死亡…国内初」、31日の「ダニ媒介感染症で死者、国内初確認」参照)。
今回の新型ウィルスの発表では、
私だけでなく、誰もが、
ウイルスの感染力がどの程度なのか、
罹患した際の致死率はどの程度のものなのか
を強く知りたいと思うはずです。
SFTSの致死率が、(別添1)病原微生物検出情報(IASR)速報 国内で初めて診断された重症熱性血小板減少症候群患者(PDF:KB)」と(別添2)重症熱性血小板減少症候群について(PDF:KB) では違っていますが、
労政記者クラブの記者が誰も気付かなかったため、
SFTS の致死率を問い質す質問が記者からは出ず、
厚労省の発表が終わってしまったということになります。
(私は本当だとは思っていませんが、)もし、本当にそうならば、
「丁稚どん のような記者しかいないのか」
と馬鹿にされても仕方ありません。
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