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詐欺罪の公訴時効は7年 [感想]

りそな銀行から融資金40億円を騙し取ったとして、警視庁捜査2課が今月1日に、医療機器販売会社「ヤマト樹脂光学」(東京都千代田区、破産)の久保村廣子元社長を逮捕したということです(2月1日の産経ニュース「りそな銀から40億詐取容疑、元社長を逮捕 警視庁」)。

ヤマト樹脂光学は、コンタクトレンズ製造のほか眼科機器関連の支援事業などを行っていた会社で、

平成20年(2008年)3月期末の決算で売上高を約680億円と公表していたが、

実際の売上高は100億円ほどと巨額の粉飾決算を続けていたとされる会社です(日経電子版2月1日の記事「りそな銀から40億詐取の疑い  元社長取り調べへ」参照)。

   

捜査2課は平成20年2~3月のりそな銀行の融資を問題としているようです。

   

トレハロース林原の粉飾事件は、刑事事件とならず、 うやむやで終わってしまいましたが、

こっちの方は 5 年経ってもやるんですね。

「りそなの融資から 5 年も経っちゃっているのに、捜査2課が今さら事件化しようとしているのは、

ヤマト樹脂光学の破産手続の状況待ちという事情でもあったのだろうか」

等、いろんな疑問が沸いてきました。

   

ヤマト樹脂光学の破産に関し、平成20年8月11日に東京地裁が破産手続開始決定を出していることは、東京商工リサーチの倒産速報からすぐに分かったのですが、

その後は全く不明です。

   

有料の官報情報検索サービスを使えば、ヤマト樹脂光学の事件番号、配当に関する情報等の情報収集は可能ですが、

私はそのサービスは申し込んではいません。

そこで他の方法を考えて見たのですが、もし、ヤマト樹脂光学の破産事件が終結していれば、同社の登記簿は閉鎖されていることになります。

   

「1100億円の負債がある会社の破産手続が数年で終わっているということはないだろうなぁ」と思いつつ、

一般財団法人民事法務協会の登記情報提供サービスで、 

ヤマト樹脂光学の登記情報を検索してみました。

検索結果は、同社の閉鎖登記簿があるというものでした。

これは、

ヤマト樹脂光学の破産手続は既に、終結し、その結果、同社は法人格を失い、法人としての登記簿は存在しない状態となっている

ということです。

その詳細を調べるため、登記情報を取得してみました。

下が、登記情報の末尾部分ですが、

平成22年4月19日東京地方裁判所の破産手続終結

という部分が、破産手続が平成22年4月19日終結したことを表しています。

   

2年もかからず、ヤマト樹脂光学の破産は終わっているのですね、そのスピードたるや凄いです。

   

警視庁捜査2課は、

ヤマト樹脂光学の破産事件が終わるのを待ち、その手続が終わったのを見計らって強制捜査に乗り出したわけではない

ことが分かりました。

 ヤマト樹脂光学(株)閉鎖登記簿.jpg

次に、詐欺罪の公訴時効期間は7年です(刑事訴訟法250条2項4号、刑法246条1項)。

逮捕容疑は、久保村元社長が、

平成20年(2008年) 2月~3月に、大学病院に医療機器の調達を依頼されたなどとする虚偽の発注書や契約書をりそな銀の融資担当者に提出し、融資金約40億円をだまし取った

というものです。

今回の逮捕ですが、融資がされた平成20年2~3月から、5 年しか経っていません。

7年の公訴時効まで、あと 2 年余裕があります。

公訴時効が、捜査2課が強制捜査に乗り出した理由だったわけでもないようです。

   

なぜ、この時期の事件着手なのでしょうか。

   

産経の記事によると、警視庁捜査2課は、

久保村容疑者が平成15年末ごろから、病院に医療機器を販売するとする虚偽の契約書などを提出する手口で、

りそな銀を含む8つの金融機関から計約1150億円を借り受けて、

 融資金を運転資金に充てながら自転車操業を続けていた

と見てるということです。

詐欺罪で立検が可能な、平成18年(2006年)頃の融資金詐欺の案件があり、

その見込みの案件の方が7 年の公訴時効にかかってしまうというような事情でもあるのでしょうか。

結局、よく分かりませんでした。

   

   

(参考)

刑事訴訟法

250条2項

時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。

一 ~ 三  (略)

四  長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年

五  長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年

六  (略)

刑法  (詐欺)

246条1項  人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

        2項  前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。


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