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生保の2012年度決算 [検討]

国内の大手中堅生保の2012年度決算が昨日24日、出揃ったということです(毎日jp「生保3月期決算:7社が増益 『逆ざや』新たに2社解消 」)。

今年度は大多数が増益で、逆ざやを解消した生保もあり、逆ざやの総額も縮小したということです。

しかし、昨年度が生保会社全体でどうであったのかが記事からだけでははっきりしません。

そこで、生保の収益状況が実際どのような状況にあるのか確認をしてみました。

ニッセイ基礎研究所が昨年7月30日に発表した「2011年度生保決算の概要」では、

国内の主要中堅生保9社(日本、明治安田、第一、住友、太陽、大同、富国、三井、朝日)

の2011年度、2010年度における それら9社合計の基礎利益 と 逆ざや(利差損) の額を整理してくれており、

それを見ると、主要中堅生保の全体的な状況が一目で分かります。

下の「基礎利益の状況」の2010年と2011年の分が、「2011年度生保決算の概要」からの引用したものとなります。

2011年とその前年の2010年について要約してみますと、

一昨年度(2011年)は、逆ざやが 2717億円あったものの、死差益と費差益が2兆0891円であったので、基礎利益は 1 兆 8174億円。

その前年度(2011年度)も、逆ざやが 3089億円あったものの、死差益・費用益が1兆8896億円あったので、基礎利益は 1兆5807億円ということでした。

つまり、2011年度も2010年度も生保は十分に儲かっていたことが分かります。

「生保は、バブル期の高い予定利率の契約のため、逆ざやを強いられており、経営状況は青息吐息だ」と誤解されている方が多くおみえなのかと思いますが、そんなことはありません。 

基礎利益等の状況.jpg

以上は一昨年度の2011年度までのことですので、次は、24日に決算発表があった昨年度(2012年度)についてです。

毎日の記事の「主要生保8社の2013年3月期決算」という表には、日本、明治安田、第一、住友、太陽、大同、富国、三井、朝日の各社の基礎利益の金額が書いてありますので、それを集計すれば、

主要中堅生保9社の基礎利益の額を算出することができます。

そして、その金額は、

2 兆 0275 億円

と計算できます。

この基礎利益とは、生保会社の本業のもうけを表す指標で、

事業会社における経常利益とほぼ同じ概念と言われていますが、

この基礎利益の内訳は、

基礎利益= 利差益(利差損)+死差益+費差益

となります。

したがって、基礎利益と、利差益(利差損)が分かれば、費差益・死差益の合計額がいくらであるのかを計算できます。

利差益(利差損)については、毎日新聞にはいくらであるかが載ってませんが、日経新聞の記事には、

「主要生保9社合計の2013年3月期の逆ざや額は前の期より約1000億円減り、1700億円程度となったもようだ。円安で海外資産の運用益が円換算すると大きくなったことが主因。」

とあることから(「生保の逆ざや縮小 円安効果で海外運用益拡大、12年度」)、2012年度の逆ざやが、

約1700億円

であったことも分かりました。

基礎利益と逆ざやの額が分かったので、大手中堅9社の費差益・死差益の合計額も、

2兆1975億円 (=2兆0275億円+1700億円)

であったことが計算できました。

主要中堅生保9社の3期の収益状況の推移を見れば、

「逆ざや」(利差損)の問題など大した問題ではないこと、

がよく分かるのではないでしょうか。


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