非正規雇用労働条件改善指導員 [豆知識]
今野晴貴氏と常見陽平氏共著の 「IT企業という怪物」の文中(44頁)に、
労働基準監督署の相談スタッフの多くが、非正規で、監督者としての権限を持っていないという実情もある
という記述があり、「そんなことがあるのか」と何となく気になっていました。
ふと、思い出して調べてみたところ、「愛知県労働局 労働基準部監督課のアルバイト」に、
応募先 愛知労働局 労働基準部監督課
募集職種 1.非正規雇用労働条件改善指導員(日給制 : 1657 円~ )
勤務時間帯 9:00~17:00
地域・最寄り駅 愛知県名古屋市中区(名城公園駅・市役所駅・東大手駅)
という求人 があったことが分かりました。
これが、「IT企業という怪物」での、「非正規労働者の労働基準監督署の相談スタッフ」のことのようです。
「非正規雇用労働条件改善指導員」という名称を聞いたことがなかったので、
新聞雑誌記事横断検索でキーワード検索をしてみましたが、記事は1件も見つかりませんでした。
マイナーであることは間違いなさそうです。
仕方がないので、厚労省のホームページで検索をしてみたところ、
平成23年6月23日開催の「非正規雇用のビジョンに関する懇談会」(第1回)の資料6「非正規雇用に関する施策」を見つけました。
この「非正規雇用に関する施策」(7頁)について、下図に整理されているように、
非正規労働者からの相談の対応が、非正規雇用労働条件改善指導員の職務であるかのような
説明がされています。
ですが、他に見つけた、厚労省大臣官房地方課長・厚労省労働基準局長が平成21年4月1日に発した通達「非正規雇用労働条件改善指導員の配置について」を読んでみると、
非正規雇用労働条件指導員の職務は、非正規労働者の労働条件・安全衛生管理の確保、及び、改善に関し、使用者団体等に対し指導、助言をさせる
と書かれています。
事業所向けの指導助言を主たる職務としていて、
非正規労働者の相談対応をその職務であるかのように説明していた、先の「非正規雇用に関する施策」の説明とは、明かにニュアンスが違っています。
よく分からないので、労働局のホームページをいくつか見てみたところ、
非正規雇用労働条件指導員に事業所を無料で訪問させて、労働条件等に関する助言・相談を無料で行う
と宣伝されています(例えば、大阪労働局)。
これを見るかぎりは、
非正規労働者からの相談の対応が、非正規雇用労働条件改善指導員の主たる職務でないようです。
いずれにせよ、
非正規労働者の、「非正規雇用労働条件改善指導員」の方が、非正規労働者の方の労働相談にのっているという図
ですが、シュールな気がしますね。
(厚労省「非正規雇用のビジョンに関する懇談会(第1回)」資料6「非正規雇用に関する施策」から引用)
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