任意保険基準 < 自賠責保険基準 ? [驚き]
知人から 交通事故(人身)の示談交渉を受任することになりました。
下の「損害賠償額計算書」は、損保会社が知人に提示した 損害賠償額を見積もった計算書です。
損保会社は
「損害賠償額を120万円と認めますので、その金額から既払金34万3460円を差し引いた 85万6540円で示談をしましょよ」
との提案をしているようです。
でも、この計算書の記載、何か変です。
損害保険は実損てんぽ のはずです。
「1.傷害による損害」の部分では、知人の損害を 81万2741円 と見積もっています。
なのに、損保会社はその金額より高い 120万円を前提に、示談の提案をしています。
「実損てんぽ」はどこへ行ってしまったのでしょう。
? ? ? 理解不能です。
分からなければ聞くのが一番です。
知人に、損保会社の担当者に電話をしてもらい、私は知人と担当者の会話を横で そば耳を立てて聞きました。
損保担当者の説明は、
「弊社の任意保険基準によると 賠償額は 81万2741円となりますが、自賠責保険基準によりますと 約141万円となりますので、自賠責保険基準額の120万円まで賠償金をお支払いするということです。」、
「自賠責保険基準について文書をお出しすることはできませんが、口頭であればお伝えすることができます。
治療費 35万9760円、
通院費 2370円、
休業損害 65万4667円、
慰謝料 40万3200円、
となります。」
というものでした。
つまり、
「『損害賠償額計算書』には出てきていない、141万9997円となる自賠責保険基準の賠償額 というものが存在し、
その自賠責保険基準と、損保会社の任意保険基準の間を取った 120万円を賠償額として提案した」
ということになるようです。
損保会社担当者は、示談の相手方から問い質されなければ、
「自賠責保険基準」での賠償額など、説明をすることもないし、そもそも、その存在を伝えもしないのでしょう。
そんなやり方で、平然と示談を成立させているのでしょう。
相手が素人なら、おそらく、赤子の手を捻るようなものなのでしょう。
油断も隙もあったものではありませんが、こんなことが許されててよいのでしょうか。
貴職は、交通事故事件をはじめて受任されたのでしょうか。
120万円が自賠責の傷害での上限額ということもご存知ないように思われました。また、自賠責保険基準の内容は書店にいけば交通事故についての本により簡単に知ることができます。
by 行政書士 (2013-09-29 12:00)
行政書士さん。
交通事故の事件は50件はやっていると思います。自賠責の傷害の上限額が120万円であることも、自賠責基準の内容も概要は知っています。
一般的に、「自賠責保険の支払基準による賠償額」<「任意保険の支払基準による賠償額」という関係にあります。また、損害保険は「実損てんぽ」です。
この2点を前提とすると、損保提案は、「(1)自賠責保険での損害査定額 < 任意保険の損害査定額(81万2741円)の関係にあるはずなのに、『自賠責120万円』という数字を示している点」、「(2)なぜ、損保会社は実損額を81万2741円と査定しているのに、その実損を超過する120万円を賠償金として支払うと言うの?それって、損害保険が実損てんぽであるとの理屈と不整合ではないの?」との2点で、理解不能なわけです。
行政書士さんは、私に何を言いたかったのでしょうか?
by tomo-law (2013-09-29 16:58)