村木厚子さんの郵便不正事件って、裁判員事件でしたっけ ? [あきれた]
郵便不正事件の被告人とされた村木厚子さん著 「私は負けない『郵便不正事件』はこうして起きた」が先々週、出版されました。
本の内容は、折り紙付きです。
お勧めします。
他の本のように、自分にとって都合がいい、内容の誤魔化しも、言い訳など一切ありません。
取調官がどんな巧妙な手口を使って、内容虚偽の供述調書に署名をさせていくのかが、よく分かります。
私はこの時期の本の出版が、大阪地検特捜部長と副部長の刑事公判への影響を考慮して、本の出版を差し控えていたからと、単純に思っていました。
でも、それだけではないんですね。
特捜部長らの事件の終了を待っていたかのように、
法制審議会の「新時代の刑事司法制度特別部会」が、5ヶ月ぶりに、先週7日に再開され、
法務省は、可視化に関し、下の2案、
(A) 取り調べの全過程を対象とする事件は、裁判員裁判の事件に限定した上で、
逮捕された被疑者の取り調べの全過程の可視化を義務付けるが、被疑者や親族が報復されるおそれがある場合、被疑者が拒否した場合、被害者ら関係者の名誉・心情が著しく害されるおそれがある場合は除外する案、
(B) 取り調べの全過程を対象とする事件は、裁判員裁判の事件に限定した上で、
被疑者の弁解を聞く手続きと、供述調書に署名を求める場面は義務化するが、それ以外の部分の可視化は、「努力目標」として取調官の裁量に委ねるとする案、
を示したということです(朝日新聞デジタル2013年11月8日の記事「取り調べ可視化、例外容認へ 法制審部会、批判も噴出」)。
村木さんの郵便不正事件は、虚偽有印公文書作成、同行使罪(刑法156条、158条1項)なので、裁判員裁判の事件ではないことになります(裁判員法2条1項、裁判所法26条2項2号)。
村木さんと同じような事件が起きても、(A)案、(B)案のいずれであろうと、可視化は義務付けられないこととなります。
法務省は、部会では(B)案が蹴られて、(A)案が採択されるというシナリオを描いているのでしょう。
(A)案を採択しても、第二の村木さんが現れることなど防止できないことなど分かっていながら、
それでも、(A)案、(B)案を出してくるなんて、結構、凄いですね。
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