高齢者による高速道路の逆走事故は増えているわけではない [検討]
高齢者による高速道路での逆走事故が正月から続けて起きている中(北陸自動車道(2015年1月4日)、首都高事故(7日))、
「高速道路の逆走事故 68%は高齢者」と報じるNHKニュースに接すると、嫌が上でも、
高齢者による高速道路での逆走事故が激増していて、いつ巻き込まれてもおかしくないのではないか、
と不安な気持ちになってしまいます(日経電子版2015年1月8日「高速道の逆走事故、高齢者6割 14年11月末時点」)。
でも、それは考えすぎのようです。
高速道路における逆走事故は、運転者が65歳以上の高齢者である割合は 5割以上となっているようですが、
少なくとも、逆走事故の件数が増えているなどはないからです。
すっきりしたいことなので、データを探してみたのですが、なかなかよいものが見あたりません。
断片的なデータから検討していくしかありません。
まず、見つけたのがNEXCO西日本のデータ。それによると、
NEXCO西日本における、平成14年から平成21年までの8年間において、
道路管制センターに通報や報告等があった「逆走事案件数」は 年間 400件程度、
そのうち「逆走事故」は 平均すると15件で、死傷事故までになったものが 平均7件だった
ということです。
NEXCO西日本では、(平成22年から26年までのデータがないので断定はできませんが、)
「逆走事案件数」、「逆走事故」、「死傷事故」とも増えているわけではなさそうであることが一応分かりました(NEXCO西日本「2010.10.25付 《参考資料:逆走の実態》」、「逆走の実態に関する参考資料」)。
あと、NEXCO東日本について平成18年から21年までの4年分の逆走事案件数のデータがありました(なお、NEXCO日本は、お客様から管制センターに通報があった件数を「逆走通報件数」と呼んでいるようですが、NEXCO西日本の「逆走事案件数」と同じものであると理解して扱っています。)
NEXCO東日本の逆走通報件数ですが、
平成18年 312件、19年 325件、20年 276件、21年 290件
ということで、こちらでも、逆走通報件数が増えているわけではことが分かりました(NEXCO東日本2012年1月28日定例記者会見資料「平成21年における交通事故等の発生状況(速報)」 )。
今度は、事故の件数からの検討です。 逆走事故の発生件数については国交省のデータがありました。
それによると、
平成23年は 26件
平成24年は 38件
平成25年は 30件
だったというものです。
逆走事故は平成23年の26件から24年の38件に増加後、平成25年には30件に減少したというものです(国土交通省平成26年7月2日開催社会資本整備審議会第15回道路分化会参考資料2「新たな国土構造を支える道路交通のあり方について」8頁参照)。
この国交省のデータからは、少なくとも、
平成23年から平成25年の3年の間で、
逆走事故の事故件数が増加しているなどということなどない
と間違いなく言えます。
高速道路での逆走の現状認識ですが、文献的な根拠が欠けるため、正確性に難点がないとは言えないのですが、
高速道路での逆走は 年間約1,000件ほどで、増える傾向にあるわけではない。
年間約1,000件の逆走事案のうち、死傷事故や物損等の事故となって件数は 30~40件で、
死傷事故となってしまった件数は、半分の15~20件 ほど。
65歳の高齢者が運転する自動車による逆走事故は、事故の50%を占める。
死傷事故となった逆走事故では それが67%となっている。
との理解が正しいようです。
逆走を検知したら音と光フラッシングで逆走車に警告すると同時に、該当路線の表示板に「この先逆走車・注意」の表示をする。このような装置の設置を提案します。
by じじいじゃ (2015-01-22 09:20)
じじいじゃさん、初めまして。
ご提案されている 逆走防止装置 によく似た装置を、NEXCO西日本は設置しているようです(https://www.google.co.jp/search?q=%E9%80%86%E8%B5%B0+%E9%98%B2%E6%AD%A2&oq=%E9%80%86%E8%B5%B0+%E9%98%B2%E6%AD%A2&aqs=chrome..69i57j69i61l2.10665j0j4&sourceid=chrome&es_sm=93&ie=UTF-8)
光のフラッシュも照らすというのは良さそうですね。でも「驚いて事故が起きた」なんて言われてる拙いので、NEXCOは 光の照射は却下したような気がします。
by tomo-law (2015-01-22 09:52)