経団連の春闘に関する発表 [感想]
経団連が、
2015年春闘の大手企業の賃上げ回答額が8,235円(賃上げ律2.52%)で、賃上げ率は2年連続で2%を上回った。定期昇給とペースアップを含む月例賃金の上昇額が8,000円を超えたのは17年ぶり
と発表しました(SankeiBiz 2015年6月20日「賃上げ、17年ぶり8000円超 経団連、大手企業の春闘最終集計」) 。
業種別では、自動車が9,507円で賃上げ率2.9%、機械金属が8,641円で2.95%となるなど、13業種が前年を上回った。一方、賃上げ率が前年を下回った日鉄・金属などの3業種も「アンケート対象の企業が変わったためで、実質的にはほぼ横ばい」(経団連)という。
ということで、調査は、
原則として東証1部上場で、従業員500人以上の249社の大手企業を対象
としたものだということだそうです。
このような報道に接すれば、
経団連の発表は、全ての産業を網羅した、経団連加入の上場している大手企業の春闘の妥結結果が発表
されているのであろうと理解しまうのではないかと思います。
ですが、その理解は正しくありません。
下が、経団連のホームページの新着情報に、昨日、2015年6月19日にアップされた「2015年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果 [最終集計](加重平均)」で、
これが報道の元ネタです。
- 2015年6月19日 提言等
2015年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果
[最終集計](加重平均)
下に、「2015年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果(加重平均)」をそのまま引用しましたが、
春闘の妥結結果において、勘案されている サービス産業 の業種及びその業種の社数は、
商業(2社)、私鉄(JR)(2社)、通運(1社)
で、総数 116社のうちの 5社 でしかありません。
(補足… 表では、製造業108社、非製造業8社と分類されていますが、建設業は 第二次産業なのですが、製造業か非製造業かとの分類においては 非製造業に分類されることとなるため、商業(2社)、私鉄(2社)、通運(1社)、建設(3社)の計8社が非製造業8社に分類されていると理解されます。)
経団連のこの発表は、「重厚長大」の、第ニ次産業についてのものだということが分かりました。
サービス産業は今日では、GNPの 70%、雇用者の75% を占めるに至っているわけですが、
発表では無視されていることになります。
こんな発表を続けることが 経団連の言うところの 政策提言 にはならないのではないかと思います。
(参考)
- 2014年6月30日 提言等
2014年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果
[最終集計](加重平均)
- 2013年7月12日 提言等
2013年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果
[最終集計](加重平均)
- 2013年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果
[最終集計](加重平均)
- 2012年7月12日 提言等
2012年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果
[最終集計](加重平均)
- 2011年6月10日 提言等
2011年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果
[最終集計](加重平均)
- 2010年6月10日 提言等
2010年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果
[最終集計](加重平均)
2015-06-20 11:19
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