SSブログ

養育費調停における遅延損害金の扱い [はてな?]

「養育費の支払遅延があった場合には遅延損害金を付した金額を支払う」との調停条項が入っている調停調書を見たことがありません。

2005年発行の日本公証人連合会著「新版証書の作成と文例(全訂家事事件編)」の19頁では、公正証書作成時の扱いとして、

養育費についても、定期金の給付であるから期限後の遅延損害金の定めをすることができるが、養育費の支払約束は、お互いの信頼関係を基礎としており、遅延損害金まで定めるのは躊躇されることなどのためか、実際には、遅延損害金の定めをすることはまれである。

との説明がなされています。これは、公正証書作成時、遅延損害金に関する条項が加えられることはまれにしかないが、加えていけないわけではないですよ、と説明しているわけです。

であるならば、遅延損害金に関する条項を入れていいはずなのは 調停の際でも一緒のはずです。

 

ところで、「支払遅延があった場合にはどうしてくれるの」なんてこと、素人は、誰かが指摘してくれなけれは気付くことではありません。

調停に関わっている他の誰かの助力がなければ無理な話です。

調停制度を設営者である裁判所の養育費調停事件の手続説明を見てみても 養育費の支払義務者が支払を遅延した場合を想起させるような記述は見当たりません(裁判所HP「裁判手続の案内>家事事件>養育費調停事件」の説明、 調停の申立書記入例(養育費)参照。)。 

残りは調停委員です。

調停の際、違約があった場合のことを決めておいた方がいいですよとでも調停委員がアドバイスしてくれ、しかも、調停条項にそのような条項を加えることを了承してくれれば、調停条項に加えられることもあるでしょう。

でも、そんな調停委員、見たことありますか。 

 

厚労省が平成24年9月7日公表した「全国母子世帯等調査結果報告」によれば、

養育費の「取り決めをしている」 母子世帯は 37.7 %、父子世帯では 17.5 %に過ぎ

ませんが、養育費の支払いの取り決めをしていても、

養育費の受給状況は、父親からの養育費の受給状況について「現在も受けている」は 19.7 %、

離婚した母親からですと「現在も受けている」が 4.1 %に過ぎない

ということです(「平成23年度全国母子世帯等調査結果の概要」、全体については「平成23年度全国母子世帯等調査結果報告」を各参照)。   

養育費の取り決めは ほとんど守られていません。 

 

そんな中、「家裁で約束したんだから別で、違約などしない」という考えはナイーブ過ぎます。 

調停にまでなっているわけだから、違約を想定して、遅延損害金の支払いに関しての条項を入れるべきだと発想すべきではないかと考えます。

 

それを実現するために、申立ての段階で細かい説明をすることまでは要らないでしょう。 

調停が成立した際に、調停条項として入っていれば用は足りるわけですから、調停委員(会)に徹底をしてもらえば足りるのではないかと考えます。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0