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各葉指印制度が導入されたのはいつだっけ [感想]

「警察捜査の正体」の中に、

被疑者の供述調書には、被疑者自刃に調書の毎葉欄外に指(押)印又は署名を求めて、調書の末尾に署名及び指(押)印したことをもって関係する。無論、署名押印を拒否することもできるし、取調官はこれを強制することはできない。

という調書作成の際について説明している個所がありました(第5章 自白偏重捜査と取り調べの実態 ●供述調書は取調官の作文 (131頁))。 

この記述だけを読んでいるだけですと、「そんなことないのに ずっと以前から供述調書の各葉指印制度は採られていたんだ」と誤解してしまう人もいるんだろうなと、何とはなく落ち着かない気持ちになりました。

 

今は 犯罪捜査規範 にも、供述調書を作成する際には被疑者に各葉指印をさせるようにとの下記した規定がありますが(179条3項) 、かつてそんな規定はありませんでした。

                             記 

 (供述調書作成についての注意)

第179条

3  被疑者の供述について前項の規定による措置を講ずる場合において、被疑者が調書(司法警察職員捜査書類基本書式例による調書に限る。以下この項において同じ。)の毎葉の記載内容を確認したときは、それを証するため調書毎葉の欄外に署名又は押印を求めるものとする。) 

 

平成19年(2007年)に関わった刑事事件では 各葉指印は 確か、まだの記憶です。

志布志事件は 調書偽造ではなかったはずです。 

いつ、どうして採用されたのか、記憶がはっきりしません。 

キーワードを「各葉指印」にしてグーグル検索してみたところ、

一橋大学法科大学院村岡啓一特任教授の「志布志事件に関する関係機関の報告書の分析」という題のペーパー(論文?)の4~5頁の辺りに、

警察庁が平成 20 年 1 月 24 日付けの「富山事件及び志布志事件における警察捜査の問題点等について」という報告書を作成していて、その中の【再発防止の当面の方策】の項目で、犯罪捜査規範を一部改正して、各葉指印制度が導入された

とのことが書いてありました。

次は、警察庁が作成した「富山事件及び志布志事件における警察捜査の問題点等について」を見つければ、あと少しで確認できそうです。

鹿児島県が保有している「富山事件及び志布志事件における‥」が見つかったので、それで内容を確認してみると、19頁の部分に、

〇 同年7月23日 

      事務連絡「被疑者供述調書等における各葉指(押)印制度の実施について」の発出

      ※  同年8月1日から全都道府県警察において実施 

〇 同年8月1日

     国家公安委員会規則「犯罪捜査規範の一部を改正する規則」の交付・施工

     ※  改正の趣旨

         (中略)

          ●  被疑者供述調書等における各葉指(押)印制度の導入を規定

        (後略) 

と書いてあるのを見つけました。ちなみに、文中の「同年」とは平成19年のことです。

 やはり平成19年8月1日に、調書の各葉指印制度導入する犯罪捜査規範の改正がされていました。

 

これで 、警察庁が平成19年7月23日発出している「被疑者供述調書等における各葉指(押)印制度の実施について」 という文章を見つけてその内容ができれば完璧です。

ですが、いろいろ頑張って調べてみたのですが、「事務連絡」は警察庁のホームページも調べてみたのですが、残念ながら見つけることができませんでした。

 

仕方がないので、今度は犯罪捜査規範の改正の方から確認です。国立国会図書館の日本法令索引で犯罪捜査規範が平成19年8月1日に改正されていること自体は確認できたのですが、その際の改正の内容までは分かりません。

 

もうこれ以上は無理かと諦めかけたところ、ネット上に、平成19年7月1日時の 翌月8月1日改正直前の犯罪捜査規範 がアップされているのが見つかりました。ああよかった。

 

それを見てみると、確かに、第179条には 第1項、第2項の 2項しかありません。

 

大したことをしたわけではありませんが、 確認をすることができ、自分なりには これで とてもすっきりできました。

 


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