有価証券報告書における 臨時従業員の記載 [報告]
上場企業うち、パートやアルバイト、派遣で働いている非正規社員の人数が多い会社のランキングが東洋経済オンラインに掲載されていました(東洋経済ONLINE2016年2月22日、田中久貴記者の記事「これが最新! これが『非正社員の多い』トップ500社」)。
先月29日のブログで、「クルー」と呼んでいるアルバイトが約14万人もいる マクドナル を話題にしていましたので、同社が何位にランキングされるのかを確認してみました。
当然 上位にランキングされているはずなのですが、名前がちっとも見つかりません。
やっとのこと第51位に、「日本マクドナルドホールディングス」の名前を見つけましたが、
非正社員(臨時従業員)数(人) 13,790
とのデータが示されています。
13,790人と言えば、「クルー」約14万人の十分の一です。記事に間違いがあるのではないかと思いました。
記事は有価証券報告書から数字を拾っているということですので、EDINET で、日本マクドナルドホールディングスの、閲覧可能な直近の有価証券報告書の内容を確認してみました。
第44期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)のがそれになりますが、第一部【企業情報】第1【企業の概況】5【従業員の状況】を見てみると、確かに、
脚注 1 に、
臨時雇用者数(パートタイマー、人材派遣会社からの派遣社員)は( )内に年間の平均人員と外数で記載しております。
と注記され、 ( 13,790 ) という数字が書かれています(下図は該当個所を引用したもの)。
会社が、パートや派遣の臨時雇用者数は 13,790人と申告しているわけですから、記事の誤りではないことが確認できました。
会社は「クルー」約13万人と言いながら、なぜ、このようなことが起きているのでしょう。
少しだけ古いですが、私の手元にある 公益財団法人財務会計基準機構 編「有価証券報告書の作成要領(平成25年3月期提出用) 」に目を通りしてみると、「従業員の状況」の「作成にあたってのポイント」という囲みの箇所には、
「③ 従業員の定義、臨時従業員の範囲等に関する基準が明定されていませんのて、各社の実態に応じて記載することになります。その場合には、従業員数の算定方法等に関する内容を脚注において記載することが適当と考えられます。」 (19頁)
と書いてあります。
「自社基準で、書いよい」というのがその理由のようです。
この日本マクドナルドホールディングスの例から明らかですが、有価証券報告書の「従業員の状況」に書かれた臨時従業員数は、確たる基準に基づいて算定されているわけでないので、書かれている人数が正しいものであるかは 眉唾かもしれないと疑って掛かっておいた方がよいのかもしれません。
ということは、それは有価証券報告書に書かれている「従業員の状況」の臨時従業員数のデータを使って書かれている記事の内容についても同じことになるのかもしれません。
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