三菱東京UFJ銀行の国債保有残高急減は、マイナス金利のせいか [困惑]
三菱東京UFJ銀行が 国債市場特別参加者資格を返上するそうです。返上の理由について日経には、日銀のマイナス金利政策のもとでは国債を持ち続ければ損失が発生しかねず、国債の買い入れについて株主の理解が得られないからであるかのようなことが書かれています(日本経済新聞2016年6月8日 「三菱UFJ銀行、国債離れ 入札の特別資格返上へ マイナス金利で損失懸念」)。
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三東京UFJ銀行が国債保有残高を急減させていることと、日銀のマイナス金利導入とは直接は関係なさそうです。また、国債市場特別参加者資格返上も直接は関係なさそうな気がするのですが。
ネットて確認できるところとして、証券経済研究第89号(2015.3)の勝田佳裕氏著「バブル崩壊以降の国債累増・国債保有構造と国内銀行の国債保有」という論文中に、
都市銀行( ≒ メガ3行)の国債保有残高の年次推移(129頁、図表3)、三菱東京UFJ銀行の2006年度から2014年度までの国債保有残高の推移(134頁、図表4)、三菱東京UFJ銀行の保有国債の残存期間別残高についての2006年度から2013年度までの推移(135頁、図表5)
が掲載されています(下表は同論文の図表3、図表4、5の三菱東京UFJ銀行の部分を引用したものとなります。)。
三菱東京UFJ銀行の国債保有残高は、2008年の20兆円から2009年の35兆円に急増後、2011年に43兆円まで増えていました。それを減らしていただけのことで、マイナス金利導入が直接の理由であったわけではないことは明らかなことです。
ちなみに、表からは 2014年度までの国債保有残高の状況しか分かりません。それ以降はどうなっているのかが気になるところですが、
三菱東京UFJ銀行の有価証券報告書と半期報告書から 2015年以降の国債保有残高が確認できます。
それらからは、
2014年9月末 33兆1943億82百万円
2015年3月末 28兆9558億92百万円
2015年9月末 24兆4244億04百万円
であったことが分かります。さらに減少させていることが分かります。
マイナス金利導入の発表は 今年(2016年)1月29日のことで、昨年(2015年)ではありません。
そんなことは分かっているはずなのに、マイナス金利に絡める記事に仕立て上げとは どういうことなのでしょうか。
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