紙ベースの手形・小切手 [豆知識]
今年(2016年)6月9日、安倍内閣は「未来投資戦略2017」を閣議決定しました。同戦略ではFin Techの推進を課題の一つにしていますが、手形・小切手については「全面的に電子的な仕組みへと移行することについて、官民がが連携した検討をする」ことを盛り込んでいます(未来投資戦略2017全体版の本文64頁、未来投資戦略2017概要 参照。)。
その流れを受け、全銀協は今月18日、「手形・小切手機能の電子化に関する検討会」を開催しました(日刊工業新聞HP2017年12月21日「手形・小切手の電子化は進むか。全銀協が官民連携で検討」の記事参照)。
検討会は、「手形については電子記録債権(でんさい)へ、小切手についてはインターネットバンキングなどを使った振り込みへ」へと意見集約をしていくのでしょうか。
このように電子化が課題となっている手形小切手ですが、手形交換所における取扱い比率はどの程度あるのでしょうか。
私がこれまで仕事で目にしてきた大多数は約束手形で、小切手はたまにで、為替手形など ほとんどありませんでした。実際、手形交換所での手形、小切手の取扱いの比率も、私がこれまで見てきた割合に類しているでしょうか。
なかなか資料らしきものを見つけることができませんでしたが、全銀協が平成24年11月発行している「手形・小切手のはなし」の5頁に、5年前のデータで少し古いですが、東京手形交換所における平成23年3月中の交換証券種類別内訳が掲載されているのを見つけました。

それによると、東京手形交換所の平成23年3月中の交換証券枚数は231万枚で、
小切手が58.0% 1,339,800枚
手形が 23.7% 547,470枚
その他が 18.3% 422,730枚
交換高は25兆1019億円で、,
小切手が 16兆9437億8250万円
手形が8.3% 2兆0834億5770万円
その他が24.2% 6兆0746億5980万円
ということだそうです。
小切手、手形、その他について、交換証券1枚あたりの交換金額(額面?)を計算してみると、
小切手 126万4650円
手形 38万0561円
その他 143万7007円
ということになりました。
「その他」というのは、手形、小切手のほか、手形交換のために持ち出される、債権(地方債、社債)、利札、配当金領収書(株式、貸付信託)、金融期間相互の業務関係領収書、日本銀行関係支払証券(政府小切手、国際、同利札、同元利支払金領収書、国庫送金通知書)、郵便局関係証券(郵便為替証書など)のことになるようです(コトバンク「交換手形」の項参照)。
この「その他」が、東京手形交換所における交換証券枚数4分の1を占めていて、交換証券1枚当たりの金額が143万円もあり、手形の38万円より高いということになります。
また、小切手が交換証券枚数のトップで58%もあり、交換証券1枚当たりの金額も126万円であるのに比べ、手形は8% で、1枚あたりの金額も38万円もの少額であることになるなんて驚きです。
倒産、不渡りなど病理的な場面でしか、手形や小切手を見ることしかないので、大外れでした。
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