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なぜだろうか? [検討]

下表(「手形交換高(大阪) 」)は、平成元年から30年までの間における大阪手形交換所での 手形交換高の金額の推移を作表したもので、全国銀行協会が公表している 2018年(平成30年)版 決裁統計年報 の「1.手形交換高」のエクセルファイルから引用した表です(nenpo3001.xls)。

手形交換高(大阪).jpg

平成28年に急増(平成27年の7.1倍)、平成29年は平成28年から1割減、平成30年は平成29年の半分になっていることが表から分かります。

   また、下表の「手形交換高(交換所別・枚数)」では、平成28年から30年の、大阪手形交換所、東京手形交換所での手形交換枚数の傾向が確認できますが、大阪手形交換所では枚数が微減していたことが確認できます。「手形交換高(大阪)」と「手形交換高(交換所別・枚数」の二つの表からは、平成28年以降における大阪手形交換所における手形交換高(金額)の急増は、1枚当りの手形交換高の金額が増えたことが理由であることが分かります。


手形交換高(交換所別・枚数).jpg


  大阪手形交換所での平成28年における手形交換高の金額の急増は、手形交換所全体の統計にも影響を及ぼしいます。

下表は「手形交換高(全国・枚数)と手形1枚当りの金額」は、「1.手形交換高」のエクセルファイルの図表2となりますが、平成28年には、手形1枚当りの金額が、前年である平成27年と比べ、2、3割高くなっていることが読み取れます。


手形交換高(全国・枚数)と手形1枚当りの金額.jpg



  大阪手形交換所における平成28年の手形交換高の急増について、私は 平成29年(2017年)3月17日の「大阪手形交換所の手形交換高がなぜか急増」というブログで触れましたが、そのブログを書いているときには気付かなかったことがありました。

それは、手形種類別における「その他」の1枚当りの金額の激増が、平成28年、29年の手形交換高が急増した理由であるということです。

手形種類別構成比(大阪・枚数)(大阪・金額).jpg

手形種類別構成比(金額)が「その他」は平成27年は13.96%だったのが、平成28年には49.97%に、平成28年には61.04%となっています。「その他」が急増していることが顕著に確認できます。

  ところで、「その他」とはいかなる手形を言うのかですが、コトバンクのブリタニカ国際大百科事典小項目事典の「交換手形」の項を読んでみると、交換手形とは、

手形交換に持出して交換に付される証券類の総称。交換証券は金額が確定していて,持出した金融機関に領収すべき権利が明らかであることが要件とされるが,その種類には次のものがある。手形 (約束手形,為替手形) ,小切手 (当座小切手,送金小切手,自己宛小切手) ,債券 (地方債,社債) ,利札,配当金領収書 (株式,貸付信託) ,金融機関相互の業務関係領収書のほか,日本銀行関係支払証券 (政府小切手,国債,同利札,同元利支払金領収書,国庫送金通知書その他) ,郵便局関係支払証券 (郵便為替証書,郵便振替貯金の払出証書および支払通知書,郵便小切手) 。

と解説されています。

また、手形種類別構成比では「当座小切手」、「自己宛・送金小切手」、「為替・約束手形」とそれ以外のものの四分類をしていることからすると、「その他」とは「当座小切手」、「自己宛・送金小切手」、「為替・約束手形」を除いた全てになることが分かります。

したがって、「その他」の手形とは、「債券 (地方債,社債) ,利札,配当金領収書 (株式,貸付信託) ,金融機関相互の業務関係領収書のほか,日本銀行関係支払証券 (政府小切手,国債,同利札,同元利支払金領収書,国庫送金通知書その他) ,郵便局関係支払証券 (郵便為替証書,郵便振替貯金の払出証書および支払通知書,郵便小切手)」であることになります。


このうち、債券 (地方債,社債) ,利札,配当金領収書 (株式,貸付信託) ,郵便局関係支払証券 (郵便為替証書,郵便振替貯金の払出証書および支払通知書,郵便小切手)については、1枚あたりの金額が莫大な金額になるとは到底思えません。

そうであるとすると、金融機関相互の業務関係領収書,日本銀行関係支払証券 (政府小切手,国債,同利札,同元利支払金領収書,国庫送金通知書その他)のあたりが、大阪手形交換所で交換されていた「その他」の手形になりそうです。

推理が正しければ、そこには何か、物語がありそうです。



一昨年に大阪手形交換所での手形交換高の急増を触れましたが、その当時、ネットニュースでは、「政府も霞ヶ関も知らなかった?大阪・手形急増のミステリー」(2017年5月2日のexiteニュース))と、「今の時代になぜ? 大阪で『手形交換』 7倍増の怪現象」(2017年5月19日の日刊ゲンダイDIGITALの小林佳樹氏の記事)という記事ぐらいしか大阪手形交換所での手形交換高の急増に触れた記事はありませんでした。大阪手形交換所、交換所に参加している50社あまりのいずれかの銀行あるいは、日銀か財務省にでも確認してみればその理由など即座に判明するだろうにと思っていましたが。なぜか、報道はなく、どうしてだろうかと訝しがっていました。


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