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かんぽ生命の保険金不払い [検討]

先月14日、

かんぽ生命保険(かんぽ生命)が、 民営化後の07年10月〜12年10月の5年間で、支払うべき保険金計100億円を不払い状態とし、保険金不払い件数は計10万件にのぼることが分かった

とのニュースが報じられました(例えば、毎日jpの記事「かんぽ生命 : 不払い 100億円 民営化後 5年間で10万件」)。

記事によると、

かんぽ生命の保険金不払いは、今年2〜4月の金融庁による検査で発覚。

事態を重く見た金融庁が今年9月、保険業法に基づき、「民営化後5年間の支払い漏れの可能性検証を」と報告徴求命令を出した。

日本郵政グループが金融庁の報告徴求命令を受けて再調査した結果、追加支払いを要する件数が約10万件、金額が約100億円となる。

ということだそうです。

かんぽ生命は、先月13日、プレスリリース(「保険金の請求案内等に関するお客さま対応の実施について」)を出して、

(1) 民営化(平成19年10月)以降5年間にご請求いただいた事案(約1,700万件)を検証します。

(2) 予想される追加支払は、お客さまのご意向や今後の検証作業によりますが、

約10万件程度(検証対象の0.6%程度)、約100億円程度と想定されます。

 とか何とか言っていますが、

昨日のブログで触れましたように、かんぽ生命自体、 

保険金・返戻金等の支払いにより消滅から 2年以上経過している契約につきましては、調査することができない場合があります

と認めています。

 かんぽ生命が検証を予定している約1,700万件の事案の中には、

当然、「契約が消滅した」として処理済で、、

契約の消滅から 2年以上経過しているとして、調査ができない案件が含まれているはずです。

かんぽ生命は、どうやって、調査不能案件を検証するというのでしょうか。

どなたか、かんぽ生命に 大いに突っ込んでもらいたいところです。

  

 

ところで、毎日の記事にも書いてありますが、

かんぽ生命は、2年前の平成22年7月23日にも、

旧日本郵政公社時代の平成15年4月〜19年9月に支払った約1737万件の案件中に、26万7千件、352億円の保険金不払いがあった

とニュースリリースを流しています( 「保険金等の支払点検に係る調査結果等について(平成21年4月13日、5月29日、8月31日、12月25日及び平成22年3月31日報道発表関連)」)。

保険金の不払いは今回が初めてではありません。

それだけでなく、かんぽ生命は、

先月22日、郵政民営化委員会に満期保険金などの未払い額が約2300億円にのぼると報告した

ということです(日経電子版の先月30日の記事「金融庁・総務省、かんぽ新学資保険を条件付きで認可」)。 

  

なお、金融庁の「株式会社かんぽ生命保険における新規業務の認可について」の別紙の第3項には、

同月 22 日に郵政民営化委員会報告した満期保険金等の未払額 (約 2,300 億円)

と書いてあるので、かんぽ生命の満期保険金等の未払額が約2,300億円であることは間違いありません。

  

民間の生保・損保の保険金不払いは、せいぜい数百億円までのことでした(wikipedia「保険金不払い事件」参照)。 

このかんぽ生命の

約 2,300億円の不払い

とは、たまげる話です。

かんぽ生命は、平成22年7月23日のニュースリリースの中で、

かんぽ生命といたしましては、

正確かつ漏れなく保険金等をお支払いするための態勢整備を事業運営上の最重要課題と位置づけ、

経営資源を優先的に投入して、再発防止策に取り組んでおりますが、

今回の結果を踏まえ、引き続き全社を挙げて再発防止に万全を期し、お客さまからの信頼回復に努めてまいります。

 と述べていましたが、誓いも、反省も全て嘘だったようです。

金融庁は、かんぽ生命が認可申請している学資保険の認可について、(郵政民営化法上の認可を条件付きで認可しましたが、) 保険業法上の認可を先送りしました(金融庁 「株式会社かんぽ生命保険における新規業務の認可について」、SankeiBiz「『新学資保険』の認可先送り かんぽ支払い漏れ対応条件」参照)。

 

  

金融庁が保険業法上の認可を先送りしたのは、当然と言えば、当然のことだと言えます。