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手数料還付の申立て [報告]

今日は、控訴を提起した民事訴訟での手数料についての話です。

控訴を提起するのであれば、裁判所に利用料を納める必要がありますが、

司法サービスを受けさせてもらうことになるわけですので、受益者負担として当然のことだと言えます。

この裁判手続を使わせてもらう利用料のことを、民事訴訟費用等に関する法律 という法律では、「手数料」という表現をしています。

では、控訴提起の際の手数料ですが、どう定められているかと言いますと、

この民事訴訟費用等に関する法律第3条第1項では、控訴提起の手数料を、

訴え提起の場合の 1.5 倍

と定めています(同法別表第2項参照)。

今回、控訴を提起した案件は、依頼者が被告として訴えられていたものでしたが、

裁判所から依頼者に送られてきた訴状には、

訴訟物の価格     808万9126円

貼用印紙額            4万4000円

と書いてありました。

私は、「控訴の手数料は4万4000円の1.5 倍の 6万6000円ということね」と、

何の疑問もなく、6万6000円の印紙を貼って控訴状を提出しました。

そうしたところ、高裁の担当部の書記官から、

5万4000円について手数料を還付することができるので、手数料還付の申立てをして下さい

という内容の電話連絡がありました。

どうして控訴の印紙代が安くてすむことになるのか、その理由がチンプンカンです。

書記官に「どうして、5万4000円も印紙代が安くなのか」、その理由を聞いてみました。

理由は簡単なことで、

訴状には、「訴訟物の価格  808万9126円」、「貼用印紙額 4万4000円」と書かれているが、

いずれの金額も間違い。

まず、「訴訟物の価格」は 「808万9126円」ではなくて「77万9126円 」。

この「77万9126円」を 「訴訟物の価格」とすると、第1審での「貼用印紙額」は「8000円」ということで、4万4000円 なんかにはならない。

控訴審の手数料は、第1審の手数料 8000円を 1.5 倍した 1万2000円 となる。

今回、控訴状に貼られている印紙 6万6000円から、本来の控訴審の手数料 1万2000円を差し引いた 5万4000円が還付の対象になる。

ということでした。

手数料を返して貰えることは うれしいのですが、何か府に落ちません。

自分(私)には手落ちがないはずなのに、なぜ、わざわざ手数料還付の申立てをしないといけないんだという不満からです。

訴訟が提起されると、訴訟事件の配付を受けた担当裁判部では、担当書記官の訴状の審査と、

裁判官の審査が行われますが、

もし、問題ありという箇所があった場合には、原告は書記官を通じて、訴状の訂正を求められることになります。

この訴状審査をクリアーして初めて、裁判所は、被告に対して訴状を送達することになります。

つまり、訴状が被告に送られているということは、

裁判所における書記官と裁判官の訴状審査をクリアーしている

ということであり、

訴状には、(形式面では、)間違いが(一応)ない

ことを担保していることになります。

ところで、この裁判所における訴状の審査は、「訴訟物の価格」と「貼用印紙額」にも及びます。

したがって、訴状が被告に送られてきているということは、

訴状の「訴訟物の価格」と「貼用印紙額」の欄に書かれている 各金額については、裁判所も正しいことを承認している

と理解できます。

今回、原告の代理人である弁護士が、「訴訟物の価格」が「77万9126円」にしかならないのに、どういう計算根拠から「808万9126円」を「訴訟物の価格」としているのかも不思議なこと。

ですが、それにも輪をかけて不思議なのは、

訴状を受け付けた地裁が、そんな原告のその間違いに気付かずに、補正をさせることなく受付けてしまっているということです。

「訴訟物の価格」の差異は、808万9126円 と 77万9126円 ということで 10倍以上も違っています。

こうも違いがあると、本当に確認をしていたのか、疑ってしまいます。