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警察庁の日証協向け反社データベース [検討]

今月4日から 、警察庁と日本証券業協会(日証協)との間で、

証券会社で口座を開設する際に、申込者が暴力団組員かどうかを、証券会社側から警察庁のデータベースに照会できるシステムの運用

が開始されることになったということです(1月4日の日経電子版「証券会社に組員情報 警察庁、データベース運用開始」参照)。

反社情報を一元的に管理したデータペース(反社データベース)は、

警察庁が構築したもので、それを日証協が警察庁から使わせてもらうということになるようです。

反社データベースの構築は、企業の反社に対する取組みの一つという位置付けになりますが、

金融法務事情2012年1月25日号(No.1938)では、

「金融庁監督局総務課課長補佐國吉雅男氏が

「監督指針・監督方針のポイント各業態における反社排除の取り組み」

と題した、

金融庁が監督権限を有している銀行・証券・生保・損保の4つの業態における反社排除の取組み状況を概括的に説明した内容の論文

を投稿されています(同書35~43頁)。

下の図表は、国吉氏の論文から引用させていただいた、銀行・証券・生保・損保の各業態ごとの反社への対応状況を整理した表となります。

このうち、「共有データペースの構築」欄は、平成23年12月時における、各業界団体における反社情報を一元的に管理したデータペース(反社データベース)の構築状況を整理したものです。

業態毎の反社対応.jpg

この表から明らかですが、日証協以外の銀行・生保・損保の各業界団体は、自前で、反社データベースを既に運用しているか、あるいは運用時期が定まっています。

ですが、日証協についてだけは、「共有データベースの構築」欄には、

H21.5    反社スキームを開始

H22.5~ 警察庁と「迅速に情報提供を行う枠組みの構築」を検討中 

と書いてあるだけで、反社データベースが いつ構築されることとなっているのかが皆目不明です。

ところで、日証協の「共有データベースの構築」欄に、「H21.5 反社スキームを開始」と書かれている日証協の取り組みとは、何かと言いますと、

① 会員証券会社からの照会を (日証協が平成21年3月に設置した) 証券保安対策支援センターにて受け付け、

② 同センターから暴追センターまたは都道府県警察に照会を行い、

③ 証券保安対策支援センターにて暴追センターまたは都道府県警察からの回答を受付、

④ 証券保安対策支援センターから会員証券会社に回答を行う

というスキームで、 

会員証券会社から個別に「反社会的勢力の疑いのある者」の照会を受け付ける取り組み

のことだと國吉氏の論文では説明がなされています。

( なお、この日証協の証券保安対策支援センターを介した照会を受ける取り組みについて、國吉氏は、

証券保安対策支援センター内に固有の共有データベースを構築したものではないが、

このスキームによって会員証券会社は警察や暴追センターからより速やかに反社該当性に関する情報提供を受けることが可能となった

と評しています(42頁脚註28参照)。)

次に、日証協の「共有データベースの構築」欄に、「H22.5~ 警察庁と『迅速に情報提供を行う枠組みの構築』を検討中」と書かれているのは、何かと言いますと、

警察庁が平成22年5月26日に、日証協からの暴力団構成員該当性の有無の照会に対し迅速に情報提供を行う枠組みを構築する方針を固め、

警察庁と日証協での枠組み構築に向けての検討が進められている

ことを言ってようです(平成22年5月26日付 「日本証券業協会における暴力団排除の取組みと警察からの情報提供について」参照)。 

反社データベースについては、「警察庁任せ」と言っているということなのでしょうか。 

よく分かりません。

 

いずれにせよ、    

今月4日から運用が開始された、証券会社側から警察庁のデータベースに照会するシステムは、

警察庁が平成22年5月26日に、

日証協に迅速に暴力団組員に関する情報提供を行う枠組みを構築する方針を決め、日証協に提供したもの

となるようです。 

今回、警察庁が日証協にシステムを提供するまでの期間として、

2年半以上の期間を要したことになりますが、

よほど複雑なシステムなのでしょうか。