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貸金業法改正を選挙公約としていた自民党 [感想]

自民党は、昨年(2012年)12月の衆議院選挙の際、

上限金利と総量規制の見直しを改正の内容とした 貸金業法改正を、

選挙公約としました( J-ファイル2012 自民党総合政策集 52頁参照)。

182  適正な規模の小口金融市場の実現と真の返済困難者の救済

2006 年12 月の改正貸金業法の成立、2010 年6 月の同法の完全施行という一連の流れの中で、

市場収縮・マクロ経済への悪影響、新種のヤミ金の暗躍、返済困難者の放置といった様々な影響が顕在化しています。

そのため、上限金利規制、総量規制といった小口金融市場に対する過剰な規制を見直すことによって利用者の利便性を確保します。

同時に、多重債務者に対する支援体制を強化するとともに、ヤミ金融業者の摘発強化、適正業者の育成を図り、

健全な借り手と健全な貸し手による適正な規模の小口金融市場の実現と真の返済困難者の救済を目指します。

昨年7月9日のブログ(「改正貸金業法の再改正 (1) 」)で触れたところですが、

昨年7月ころの情勢ですと、

民主党の改正貸金業法検討ワーキングチーム(作業部会)も、

自民党金融部会「小口金融市場に関する小委員会」も、

上限利率の引上げと総量規制を緩和を認める方向で一致。

すぐにでも、両党の議員立法で、改正貸金業法を国会で通してうまうのではないか

というような、貸金業法改正の勢いでした。

そんな情勢にあったわけですから、自民党の選挙公約にもなっている この貸金業法改正は、有無を言うまもなく、断行ということになってしまうのかなぁと思っていました。

でも、改正貸金業法の話題は、どこからも出て来ません。

朝日・読売・毎日・産経の全国紙も、日経も、何も報じません。

何か変なんです。 

こういう場合に強いのが専門紙というか、業界紙です。

金融関係に強い、ニッキン(日本金融新聞社)の新聞記事検索をしてみました。

ありました。

昨年11月2日、「与野党、改正貸金業法の見直し再改正を棚上げ、民主内部の意見対立で

という題で、

 自民党が検討を進めてきた改正貸金業法の見直しが、当面は棚上げされる見通しとなった。

一時は超党派の議員立法で再改正を目指す機運が高まったが、民主党内の意見集約が難航し、事実上の白紙撤回に追い込まれた

と報じています。  

ニッキンのホームページで見れるのは、ここまでですので、新聞・雑誌記事横断検索を使って全文を読んでみました。

記事は、、

民主党は昨年2月、改正貸金業法検討ワーキングチーム(WT)を設置し、昨年7月に、中小・零細企業や個人事業主に対する少額短期のつなぎ融資に限って上限金利を引き上げる見直し案をまとめた。

WTは、政策立案の決定権を持つ政策調査会に諮る前に、党内の関連4組織に承認を求めた。

だが日本弁護士連合会が改正阻止のロビー活動を展開し、

法務部門会議と消費者問題プロジェクトチームが反対を表明した。

そのため、党内の意見が割れ、「当面はヤミ金被害や多重債務者の推移を見守る」ことで合意し、結論を先送りとなった

ということだそうです。

日弁が、民主党に対しロビー活動をして、貸金業法改正をツブしたということのようです。

そのため、

自民党は小口金融市場に関する小委員会で見直しを進め、昨年5月に改正案を策定し、

他党の意見集約を待って、今秋にも超党派での議員立法を目指す方針だったが、

民主党の内部対立の影響で改正案は宙に浮いた格好となってしまった。

ということでだそうです。

自民党はと言うと、 

自民党での意思決定は、昨年11月2日時点では、小委員会の決定にとどまっていて、

政務調査会の了承は得ていない状況にあり、

政権復帰の可能性がある次期衆院選後の見通しは不透明な情勢にある

という機関決定しかされていないということだそうです。

  

てことは、貸金業法改正を自民党は選挙公約にしてはいますが、

改正の道程は振り出しに戻ってしまっているようです。

  

改正までの道程は遠そうです。

改正の議論ができるのも、反対勢力がいるため、、

「今年7月(?)の参議院選に勝ったから」と言うことになるんでしょうか。