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駆け込み退職について思う [感想]

3月1日以降の退職だと、退職手当が150万円減額されてしまうということで、

埼玉県や愛知県など、で「駆け込み退職」が起きているとのニュースが先月下旬ころから報じられている。

青森県は「周知期間、職員の将来設計を考えた」、三重県は「万が一の駆け込み退職と、県民サービスへの影響を考えての判断」としている

こんな事態が生じたのは、都道府県議会が、「職員の退職手当に関する条例」で定めている、調整率を段階的に引き下げる改正案を、平成25年3月1日を施行日として可決成立させてしまったからです。

 

調整率については、

平成25年2月28日まで                    104/100

平成25年3月1日から同年9月30日        98/100

平成25年10月1日から同26年6月30日  92/100

平成26年7月1日以降                        87/100

と段階的に引き下げられることとなっています。

この調整率の引き下げは、昨年11月に成立した国家公務員退職手当法の改正法と、ほぼ一緒です(同法附則 (平成二四年一一月二六日法律第九六号)第1条参照)。

違う点は、調整率が 104/100 から 98/100 に引き下げられる時期が、国家公務員の場合は、平成25年1月1日となっている点だけです。

  

新聞等での「駆け込み退職」の報道は、 

私たちの身近にいて、しかも、私たちの生活に直接影響を及ばしかねない、警察官・教師といった、

社会的なインフラを支えている方々だけに目を向けた報道となっているのではないかという気がします。

読者の関心が高いため、やむを得ないのかもしれません。

  

ですが、この「駆け込み退職」問題は、都道府県職員である警察官・教師だけについての問題ではありません。

報道されていないだけで、国家公務員についても、昨年12月に、同様なことが起きているはずです。

また、退職手当の調整率は、 今後も、今年の10月1日、来年の7月1日に引き下げられることとなっています。

今年9月ころ、来年6月頃にも、同じ問題は起きるのではないかと思います。

「駆け込み退職」については、年度途中での退職は無責任だとの論調が強いですが、

一月遅らすと退職手当が150万円減ってしまうのであれば、2月中に退職して、退職手当を満額もらおうとするのは当然のことです。

そういう行動を非難する方がおかしいのではないでしょうか。

私は、この問題は、「退職によって生じた 1ヶ月の穴を どう埋めるか」というだけの問題ではないかと考えています。

退職された方に、「1ヶ月だけ非常勤として働いていただきたい」とお願いして、働いていただくだけのことではないのでしょうか。

  

なお、読売新聞の先月31日の「退職手当削減、21自治体が新年度に先送り」によると、

退職手当の削減について、

①  21都府県が年度内(3月1日)に実施、

②  北海道、青森、三重、山口、鹿児島など13道府県、札幌、京都、熊本など8政令市の計21自治体は、年度内の実施を見送り、

③  残る13県12政令市は、2月議会に条例案を提出するなど、実施時期を調整している、

という状況だそうです。

①の自治体は、国の要請に従い、昨年12月の定例議会で、施行日を3月1日とする退職手当条例の改正してしまったため、「駆け込み退職」問題が起こってしまったわけです。

運が悪かったと言えます。

これに対して、②、③の自治体では、退職手当条例を今年2月の定例議会に上程することにしていたため、

「駆け込み退職」問題を横目に見て、

施行期日を、急遽、「3月1日」から「4月1日」に変更することができただけのことです。

②の青森県は「周知期間、職員の将来設計を考えた」と、また、三重県は「万が一の駆け込み退職と、県民サービスへの影響を考えての判断」と言ってるようですが、

よくそんな、尤もらしいことを言いますよね。