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覚せい剤の簡易鑑定装置 ? [感想]

愛知県警豊橋署が、尿の簡易鑑定で覚せい剤の陽性反応が出たため、誤認逮捕をしてしまったということです(今日19日の毎日jpの記事「愛知県警:覚醒剤簡易鑑定誤判定で逮捕の男性釈放」、昨18日の中日新聞 Chunichi Webの記事「豊橋署、男性逮捕後に釈放 覚せい剤成分を誤判定か」 )。

事案の時系列は、

豊橋署の署員が、男が搬送された病院で、男の尿の簡易鑑定。

尿から陽性反応が出たので、男を18日午前5時25分に緊急逮捕。

                   ↓    

男の尿を、県警科学捜査研究所(科捜研)で本鑑定。

結果は陰性反応。

                   ↓

豊橋署、男を18日午後2時30分ころ釈放。

といういうものです。

誤認逮捕自体は、問題と言えば問題なのかもしれませんが、起こったことの起承転結は、

試薬を使った簡易検査で、誤って陽性と判定されたために、男を誤認逮捕をしてしまったが、

ガスクロマトグラフィーを使った本鑑定では、正しく陰性と判定されたので、男を即座に釈放した」

というだけのことです。

なのに、 記事によると、

県警は、県内8署にある同じ簡易検査装置の使用を中止し、原因を調べる(中日)

とか、

簡易鑑定の陽性反応が本鑑定で覆った例は過去にないという(毎日)

と仰々しいことを言っているようです。

そもそも、「県内8署にある同じ簡易検査装置」とは、何のことを言っているのかが よく理解できません。

覚せい剤の簡易鑑定は、試薬の変色で判定をするキットを使って行われますが、

「簡易検査装置」

とは、そのキットとは違うもののようにも読めます。

簡易鑑定のキットのことを言っているのでしょうか、それとも、ガスクロマトグラフィーの測定機のことを言っているんでしょうか。

   

また、愛知県警は「簡易鑑定の陽性反応が本鑑定で覆った例は過去にない」と言っているようですが、

そんなことはありません。

今回の豊橋署と同じように、 福岡県警が、昨年1月17日に、 

男が所持する白い粉末を現場で簡易鑑定をしたところ、陽性反応を示す青紫色に近い色を示したため、現行犯逮捕をしたが、科捜研の正式鑑定で覚せい剤でないことが分かったため、男を釈放した

という内容で、誤認逮捕をしています。

(「2ちゃんねる ニュース速報+板 【社会】覚せい剤鑑定ミス、誤認逮捕=9時間半後に男性釈放-福岡県警 (133)」、毎日新聞2012年1月18日西部朝刊「誤認逮捕 : 白い粉所持の男性、覚醒剤と誤り 福岡県警、小倉北で」、朝日新聞2012年1月18日西部朝刊「覚醒剤所持で誤認逮捕 正式鑑定で判明 福岡県警 【西部】」、読売新聞2012年1月18日西部朝刊「覚醒剤所持で誤認逮捕 小倉北署 正式鑑定で検出されず」、西日本新聞2012年1月18日付朝刊「覚せい剤所持 誤認逮捕 福岡県警 粉末簡易検査 陽性と誤る」)

このように「簡易鑑定の陽性反応が本鑑定で覆った例」 は存在しています。   

愛知県警は「簡易鑑定の陽性反応が本鑑定で覆った例は過去にない」と言っていますが、

簡易鑑定はスクリーニング検査です。

簡易鑑定の陽性反応が確実ではないからこそ、念を入れて本鑑定するわけです。

もし、簡易鑑定の(陽性) 的中率が100%だというのであれば、本鑑定など必要ないことになります。

それなのに、わざわざ、「簡易鑑定の陽性反応が本鑑定で覆った例は過去にない」と発表しているわけですが、

愛知県警は一体、何が言いたいのでしょう。