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余罪による犯罪立証 [感想]

先週22日の日経の記事「余罪による犯人性立証、最高裁『原則認めず』」によると、

余罪での手口等の特徴を、別の否認事件の証拠とできるかについて、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は「相当程度類似した顕著な特徴がない限り許されない」との初判断を示した

ということです。

記事にもあるように、昨年9月に最高裁第2小法廷は、前科での犯罪の立証は原則認められないと判断していました(日経電子版2012年9月7日「前科による犯罪立証認めず 最高裁初判断」)。

今回は、余罪での犯罪立証についてです。

「余罪による犯罪立証なんか認められない」ということなど、 

そんなこと当たり前じゃないかと思うのですが。

現に、

広島高裁岡山支部は、被告人の余罪の犯行が「女性の下着目的で空き巣に入り、女性への複雑な感情から放火する点などが特徴的で、否認事件とも共通する」と認定し、根拠の一つとした

ということですから、必ずしもそうではないんですね。

よほど特殊な事案だったのでしょうか。

   

広島高裁岡山支部の判決についての新聞記事は見つかりませんでしたが、岡山地裁のは数紙が記事にしていました。   

数紙のうち、朝日新聞の記事では、

第一審の岡山地裁が平成22年12月、

2004年8月から約1年間に、岡山市内ばかり20軒の住宅に侵入し、窃盗19件、放火10件を繰り返した。

と認定し、被告人に懲役28年の刑を言渡したと報じています(2010年12月8日付大阪地方版岡山全県版「被告に懲役28年判決 「再犯、強く懸念」 連続窃盗放火で岡山地裁 / 岡山県」) 。

記事では、 この被告人が、

侵入した家に住む女性の下着や写真なども大量に盗んでおり、

05年8月の逮捕時には、自宅から女性の下着類約1千点が県警に押収されていた

とも報じています。

この被告人は、「下着泥棒をしたことを隠すために、放火をしていた」ことが窺われます。

   

ですが、この被告人の「窃盗後に放火」という手口は、風変わりな手口ではあるかもしれませんが、

第一小法廷で言うように、「さほど特殊とはいえない」とはいえませんよね。

被告人が否認した事件については、余罪を使わないと認定ができないほど、証拠が薄かったということなのでしょうか。