「弁護士の年収低下 新人は 5年前比 210万円減」 [困惑]
表題の記事が 8月9日の日経新聞に掲載されましたが、
「法務省の調査で 2015年の新人弁護士の平均年収は 568万円となり, 5年前の 10年に比べ 210万円減ったことがわかった。」
そうです(日経新聞2016年8月9日「弁護士の年収低下 新人は 5年前比 210万円減」)。
給与所得者の平均給与は415万円です(給与所得者の平均給与額415万円については国税庁HP「平成26年分 民間給与実態統計調査」参照)。
なので、この記事に目を通した人の多くは、「弁護士の新人の年収が下がったそうだが、給与所得者の平均年収よりも貰っていて、恵まれてるな」と思うことでしょう。
でも、本当にそのとおりなのでしょうか。
記事の「2015年の新人弁護士の年収が568万円」の根拠が何んなのかを探してみたところ、法曹養成制度改革連絡協議会の平成28年7月8日開催された第4回協議会において、事務局が[PDF]」がそれであることが分かりました。
1月以上も前の ネタ でした。
この「法曹の収入・所得,奨学金等の集計結果」では、弁護士の収入・所得について、
とするした調査をしています。53期から67期の弁護士を調査対象に、平成25年分から平成27年分の収入・所得を調査事項
日経の記事は、収入にだけ触れたもので、
(収入-必要経費)で計算される 弁護士の所得
の方は、どのような魂胆で触れないのかがわかりませんが、等閑視です。
仕方がないので、
平成27年の所得が、1年目の弁護士、6年目の弁護士、11年目の弁護士、15年目の弁護士では、それぞれどのような所得分布を示しているかについて 集計結果12頁で整理されていましたので、それを整理しなおして見ました。
結果は下表のとおりです。
数字から明かなことは、
1年目の弁護士の所得の平均値は327万円、中央値は317万円。
1年目の弁護士の18 % は年収200万円未満。
11年目でも 19.6% が年収 400万円未満。
16年目でも 17.4% が年収 400万円未満。
ということです。
(資料-集計結果12頁から引用)