合議率 10 % [感想]
地裁の民事の単独事件が 2件、合議での審理に変更となりました。
2件とも 「なぜなの」との違和感を持ちました。
平成27年7月10日公表の「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第6回)」では、「合議体による審理の充実」が声高に述べられていますが、そのせいなのでしょうか。
「合議率」をキーワードにして、国会会議録検索システムで検索をしてみますと(検索期間は平成1年1月1日から)、
11件の記事録がヒットします。いずれも法務委員会の議事録です。
何本かの議事録を斜め読みしてみると、
最高裁は、平成13 年4月16日付の「裁判所の人的体制の充実について(司法制度改革審議会からの照会に対する回答)」以降、
① 専門訴訟をはじめとする複雑訴訟に対応するため合議率を大幅アップする(現在の約2倍。約5%から10%へ)
② 判決までに平均20か月以上かかっていた 人証調べのある地裁民事訴訟の審理を1年以内に終了できるようにする
ことを、裁判官の増員の必要性の根拠としているようです。
それから15年経つわけですが、平成28年3月16日の衆議院法務委員会における中村愼最高裁判所長官代理者の答弁によれば、
合議率は4.7%
人証のある対席判決の事件の審理期間は平均20.1ヶ月
ということです。 裁判官の増員は何だったのでしょう。
判事の定員の年次推移は下表のとおり。平成13年は 1,390人だったのが、平成28年は 1,985人で 5割増です。
合議率だけでも嵩上げしたいという意向が、現場を突き動かしているのでしょうか。
(判事補の定員が平成10年改正で20人増、同11年改正で30人増、同12年改正で70人増であったことを見落としていましたので 図を平成29年1月27日に差し替えました。)