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大阪手形交換所の手形交換額がなぜか急増 [豆知識]

手形の利用状況を久しぶりに確認をしましたが、相変わらず低調のようです。

 下図は 全銀協の「平成27年度版 決済統計年報」の「1.手形交換高」図表1を引用したものですが 微減傾向にあることが分かります。

 手形交換高推移.jpg

手形に変わるものとして鳴り物入りで登場した、 

でんさい の方の普及状況についても調べてみましたが、これっぽっちなのという状況のようです。

下図は、前記の「平成27年度 決済統計年報」の「5. でんさいネット請求等取扱高」の表から

でんさいネットでの発生記録請求、譲渡記録請求、分割記録請求の件数と金額を抜き出し、

手形交換高(全国)と対比可能なように、単位を揃えたものとなります。

デンサイ.jpg

でんさいネットの発生記録請求の件数と金額は、

平成25年   13万5千件   1兆0495億円   

平成26年   62万3千件   4兆7612億円 

平成27年  108万1千件  7兆9994御円

ということになるようです。

片や、全手形交換所における手形交換高の方は、

平成25年  7305万1千枚  366兆4450億円

平成26年  6886万4千万  332兆6554億円 

平成27年  6419万枚   299兆0323億円

という状況です。

でんさいが手形に代わって浸透しているなどと、とても言えない現状にあるようです。 

 

東京商工リサーチが、ホームページ中の2017年2月22日付の「2016年『手形・でんさい』動向調査」と題した記事の中で、2016年(平成28年)までの 手形 と でんさい の利用動向をコンパクトに整理した記事を掲載しています。

記事は2016年(平成28年)までの動向を踏まえたものでしたが、2015年までの状況と変わるところはありませんでしたが、驚くようなことが、事も無げに さらりと書かれていました。

それは、

「2016年の手形交換額は、大阪手形交換所の大幅増で5年ぶりに減少に歯止めがかかった。だか、大阪分を除くと全国で減少をたどっており、趨勢としてはこれまでの流れに変化はない。」

との箇所で、テキストだけで 大阪のデータも数字も載ってません。

大阪手形交換所の手形交換額の大幅増で、全国の手形交換額の減少に歯止めがかかるなんて、そんなこと本当なのでしょうか。

大阪銀行協会のホームページの「大阪手形交換所統計」をクリックすると、大阪手形交換所と全国の手形交換所の平成24年から平成28年までの年次の手形交換高と、平成25年12月から平成29年1月までの月次の手形交換高を整理している「大阪・全国手形交換所統計」が出てきました。 

「大阪・全国手形交換所統計」をざっと見てみると、確かに、平成28年3月以降、大阪手形交換所における手形交換高の金額が 数倍増になっていることがすぐ確認できます。

平成28年2月の4兆0503億円が、3月には 14兆2399億円、4月には20兆5404億円 といった具合にです。

この大阪手形交換所における手形交換高は、全国の手形交換所における手形交換高の5割を占めていそうです。

ですが、手形交換高の枚数は余り増えているようではないようです。

「大阪・全国手形交換所統計」の月次の大阪手形交換所の手形交換高の枚数と金額と、全国の枚数と金額のデータを使い、大阪手形交換所の手形交換高が全国の何%を占めることになっているかを、枚数ベースと金額ベースで出してみました。

下表がそれとなりますが、平成28年3月以降も枚数ベースでは、全国の15%程度と変わらないのに、金額ベースでは50%超となっています。 

手形1枚当り金額がいくらとなっているかを、本記事の末尾に(参考)として載せておきましたが、

大阪手形交換所では、平成28年2月まで 手形金額が1枚3~400万円だったのが、3月以降は 2000万円超というようなことになっています。全国平均でも 4~600万円なので、大阪が異常に高いということが分かります。

 大阪手形交換所対全国 手形割引高比率.jpg

 

驚くようなことになっているのですが、新聞雑誌記事横断検索を使って、キーワードを「大阪手形交換所」として検索をしてはたのですが、記事の検索結果は 0件でした。 

大阪手形交換所で起きていることが 報じられいないことにも驚きましたが、どういう理由で手形交換高が急増しているのでしょうかね。    

 

(参考) 

   大阪手形交換所データ.jpg