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労働基準監督業務の民間活用 [旬の話題]

3月9日開催された規制改革推進会議で、労働監督業務を民間事業者に委託することが検討されることとなり、タスクフォースが設置されることになりました。
 
3月16日、4月6日と2回のタスクフォースでの会議が既に開催されている現状にあります(規制改革推進会議第12回議事録、タスクフォース第1回議事次第議事録第2回議事次第)。
    
昨年9月12日の安倍首相の諮問 を受け、今年6月に規制改革推進会議が答申を提出する際までに、委託対象業務の範囲や民間委託事業者の権限を答申に盛り込むということだそうですので、急ぐのは時間がないからのようです(時事ドットコムニュース2016年3月9日「労働監督、民間委託検討へ=規制改革会議、6月に答申」) 。
   
     
労働省は 複雑な業務で民間は対応できないので反対しているということだそうです(時事ドットコムニュース2016年3月16日「労働監督、民間委託に反対=厚労省、規制改革会議の聴取で」)。
 
確かに、タスクフォースの第1回会議で、厚労省は「労働基準監督行政について」という資料を提出し、苦しい陣容の中で一所懸命にやっているということを言っていることが議事録を読むと分かります(議事録) 。
 
 
それはさておき、厚労省が提出した資料と議事録をよく読んでみると、(下に「労働基準監督行政について」8頁の箇所をそのまま図示しておきましたが、)厚労省は、「時間外及び休日労働協定点検指導員」、「非正規雇用労働者労働条件改善指導員」、「労働時間管理適正化指導員」、「働き方・休み方指導コンサルタント」という名称の 指導員やコンサルタントを使って、民活を実践していると強弁していることが載っています。
 
 指導員等.jpg
 
 
記事録では、8頁から9頁にかけて、土屋大臣官房審議官が次のように説明しています。
                                      記
「…。さらに民間活用という点におきましては、民間の人材を私どもの行政組織の内部にお越しいただいて活用するという取組みをやっております。具体的には社会保険労務士や民間企業のOBの方に監督署や労働局にこれらの方を配置して活用することで、特に下の表にございますように労働時間の関係で申し上げれば、①と③ということでございますが、①にございますように、まず時間外・休日労働の定、いわゆる36協定の点検指導をする点検指導員を全国で200名ほど配置しておりまし、下の注記の①にございますように、この方々には監督署において36協定が例えば必ず載が必要な事項に漏れがないかどうかとか、労働者の過半数代表の選出方法に問題がなかどうかというようなことを確認していただいた上で、時間外労働の協定の時間がいわる限度基準告示に沿ったものになっているかどうかということを点検していただき、必な指導を行っていただくというような対応をしていただいてございます。督署に出てきている36協定は年間で140万件ほどございますが、そのうちの56万件、約割について、この点検をこれらの方々に御対応いただいている状況がございます。
③の労働時間管理適正化指導員につきましては、下にございますように長時間労働が疑われる事業場に自主点検を実施していただいたり、あるいは管理の適正化のための訪問指をするというお立場で御活躍をいただいております。これについては平成28年度に新設いたしまして、29年度はこれを倍増させる予定でございます。これらの方々は基本的に私ども行政の中で非常勤職員として、つまり公務員としてのお立場を持っていただきなら御活躍をいただいているということでございます。…」
 
 
OBの食い扶持確保という臭いがプンプンですが、これらの指導員やコンサルタントのやる業務は 複雑ではないということなのでしょうか。