「 獣医 不足 朝日新聞 」でググってみると [検討]
加計学園問題のテレビ新聞報道を見ても、獣医師が不足している現状にあるのか、一番の肝となりそうなことが分かりません。
やはり、どうは言っても朝日新聞が一番掘り下げた報道をしていたであろうと推測されるので、「獣医 不足 朝日新聞」をキーワード、「2016年12月31日より前」を検索期間としてみて、グーグル検索をしてみました。
その検索結果画面は これ となります。
2010年(平成22年)6月17日の鈴木暁子記者の
asahi.com(朝日新聞社):公務員獣医師が足りない 家畜よりペット、学生 ...
www.asahi.com/special/kouteieki/TKY201006170275.html
という署名記事が劈頭に出てきました。ニュース検索ではこの記事は出てきませんので、「GLOVE」と呼ばれている日曜版の記事ということだったため、運良く(運悪く)、網に引っ掛かってくれたようです。
記事では、
「朝日新聞の調べでは、獣医師の定員を定める20都道県のうち12の道県で定員割れとなっていた。北海道で51人不足し、岐阜県で18人、鹿児島県で10人、新潟県で7人足りない。薬剤師や臨床検査技師が獣医師の仕事の一部を肩代わりしている県も複数ある。」
と、公務員獣医の不足を指摘しています。
獣医師は 公務員に関しては不足しているようですが、記事が一本だけでは、断定できません。
検索結果を、順番に見ていくと、「唐木秀明 著-1998」
獣医学教育の現状 現在危機的な状況にある 獣医学 ... - J-STAGE Journals
というPDFファイルを見つけました。
1998年の日本獣医師会誌に、唐木英明現東大名誉教授が投稿した「獣医学教育の危機」という論説で、日本科学振興機構(JST)のジャナールとして保管されているもののようです。
論説の内容は、
獣医学科は質の高い学生を集めているが、教育環境は良くなく、教育水準は国際的なレベルに及ばなないため、獣医師は世界水準に及ばないことになっている
という辛口の指摘がされたものでした。
唐木英明名誉教授は、今回の加計学園の件 について何か語っているだろうかとの関心が湧き、検索してみたところ、皮肉なことに、くだんの朝日新聞の WEBRONZA に 今月5日、
と題した論説記事を発表されていることが分かりました。
いやらしいことに記事のリード部分で、唐木教授が「東大定年後は加計学園関連の倉敷芸術科学大学長を務めた」ということが触れられています。でも、20年前も前から獣医師会の閉鎖性を指摘していた唐木教授が、加計学園に対し忖度したことを述べられているなどという心配はなさそうで、論考は信頼できるものであろうことが予想できます。
是非、読んでみたくなり、 1ヶ月だけRONDANの講読をすることにしました。
記事では、
過去半世紀にわたって獣医学部が設置されなかったことの理由の一つが、獣医師会が獣医師の権益を守ること、とくに獣医師の過半数を占める小動物獣医師の過当競争を避けることと、既設の市立獣医科大学の権益を守るために、獣医師の数は一人たりとも増やさないという方針だったからである
との指摘し、
2010年に愛媛県と今治市が獣医学部設置の申請をした時には、日本獣医師会は過剰ともいえる反応を示し、「獣医学教育課程が、『特区』に名を借りた『地域おこし』や特定の一学校法人による『大学ビジネス拡大の手段(場)』と化すようなことがあってはならない」と批判をした
ということが触れられています。
医師の需給関係の調査は、これまで1回、唐木教授が責任者を務めて 2007年に調査が行われ、その調査結果から、小動物獣医師はほぼ需給のバランスが取れているが、家畜臨床と公衆衛生を担当する獣医師は今後も不足するとの予測された。
その原因の一つに、高収入が見込まれる大都市の職域に獣医師が流れるという医師偏在と同じ要因が指摘された。
ということです。ですが、
2007年の調査での予測では、卒業生の数が変わらないことが前提とされていたが、入学定員を厳守したところ卒業生が大幅に減少することになった。
獣医学の入学定員は930名だが、930名の入学定員を厳守すると、国家試験合格率は約8割なので、獣医師の年間供給者数は750名程度となってしまい、これまでも不足していた家畜臨床や公衆衛生分野の獣医師がさらに減少し、社会的混乱を招く恐れがあった。
その対策としては、既存の大学の入学定員を少しずつ増やして合計1200名にすることも考えられるが、その場合には教員も施設、設備も増やさなくてはならず、現実的ではない。そこで出てきたのが私立大学を設置する方向だった。教育改善の努力を続けていた関係者の間で具体的な大学名は出なかったが、賛否は別として、平成19年から15回にわたって獣医学部の新設を求めていた愛媛県今治市が、関係者の念頭にあったことは間違いない。このような背景事情があったことは、「極めて薄弱な根拠の中で規制緩和が行われた」と発言した前文科事務次官も当然知っていたはずである。
ということが述べられています。
定員の事実上の水増しで凌いでいるということなど、誰も何も触れないのはどういうことなのでしょう。
論説の読む限りでは、加計学園が獣医学部を新設することとなったのは順当な話しであったとしか思えないという感想を持った。