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獣医師の供給 [困惑]

唐木英明現東大名誉教授が、WEBRONZAの「加計学園「半世紀ぶり獣医学部」の本当の意味 世界レベルから取り残される日本の貧困な教育環境」で次のように書いています。

「獣医学の入学定員は930名だが、獣医師国家試験合格者数は約1000名である。その仕組みを見ると、受験者数は約1300名だが、その内訳は、入学者のうち1050名程度が新卒で受験し、残りは受験を延期する。そして不合格者約100名と受験延期者を合わせて約250名が翌年以後受験する。従って、受験者1300名から2回受験する約100名を除く約1200名が入学者数と考えられ、入学定員の約1.3倍になる。もし930名の入学定員を厳守すれば、国家試験合格率は約8割なので、獣医師供給数は750名程度に激減する。これを放置すれば、これまでも不足が続いていた家畜臨床や公衆衛生分野の獣医師がさらに減少し、社会的混乱を招く恐れがある。」


本当にそうなのかを確認しようとしましたが、獣医師国家試験の試験結果を整理した統計資料を見つけることができません。農水省のホームページには 5年分の結果しか掲載していません。


仕方がないので、検索期間を絞ったり、試験の回次をキーワードにして グーグル検索してみました。

農水省と獣医師会のホームページに掲載されているデータから、第50回(平成10年度)からの第68回(平成28年度)までの 19回の 受験者数と合格者数を確認することができました。


下図がそれとなります。


獣医師国家試験.jpg


19回の試験での合格者数の平均は 1031人。 受験者数は1250人ぐらいであることが分かります。

   

獣医学科の定員は930人ということだそうですので、合格者は獣医学科の入学定員よりも多いことになります。


獣医師国家試験の受験者が 1250人ぐらいだということは、獣医師国家試験の受験者は、獣医学科の入学定員よりも 34% も多いことが分かります(計算式…(1250人-930人)/930人  )。


獣医学科に入学後、ドロップアウトしてしまい国家試験を受験しないこととなった方もいるでしょうから、その点を勘案すると 獣医学科への入学者数は 国家試験の受験者数よりも もう少し多いということになるのでしょう。


平成10年から20年ほど同じことになっていますね。   

 

獣医師の年間供給が 1000人強 だというのであれば、930人の獣医学科の定員は少ないということになるの明かではないかと思うのですが、なぜ、農水省も、文科省も獣医師は足りているなどと 言うのでしょうか。やめてほしいわ。