飲食店営業者の住所 [感想]
飲食店を始めるには、保健所に申請し、許可を受けなければなりませんが、
許可権者は原則、都道府県知事。例外的に大都市などでは市長になります(食品衛生法67条、52条参照)。
食品衛生法における飲食店営業の許可権者が違っていたため、興味深い体験ができました。
それは、名古屋市内の個人営業の飲食店と県内の個人営業の飲食店の、情報公開請求をした際のことです。
食品営業許可台帳に記載されている、営業者の氏名と住所を、名古屋市と愛知県に対し情報公開請求をしたところ、
名古屋市 営業者の氏名は公開、住所は非公開
愛 知 県 営業者の氏名、住所とも公開
という結果になりました。
個人事業者の住所を名古屋市は非公開、愛知県は公開という違う扱いになりました。
個人事業者に関する行政文書の公開の基準は、名古屋市の場合は 名古屋市情報公開条例第7条2項が、愛知県の場合は 愛知県情報公開条例第7条第3項がそれぞれ規定しています。
名古屋市の条例の方は「原則公開だけど、公開することによって明らかに不利益を与えるものは非公開。でも、公にすることが公益上特に必要な場合にはやはり公開する」という条文の書きぶり。
他方、愛知県の方は (7条柱書部分で公開が大原則と述べた上で、7条3項では)「情報を公開することで個人営業者の正当な利益を害するおそれがあるときと、公開しないという条件で情報提出をしてもらったときだけは非公開。でも、生命、健康、生活や財産を保護するため、公にする必要がある情報はやはり公開。」と言った条文の書き振りです。
この条文の書き振りの違いが、(行政)解釈の相違を、また、その結果、判断の相違を導いたということになります。
地方議会が制定している 情報公開条例 などは、総務省の示したモデル条例案を丸飲みしていて、地域性などどこにもない、どこもかしこも同じたんだろうと 想像していました。