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告訴の受理証明書 [豆知識]

 立花書房の 加藤俊治著「Q&A 実例 告訴・告発の実際」では、ずばり、「54 告訴の受理証明書」というQ&Aが載っています(106~107頁)。 

設問は、

Q  告訴・告発がした者が、その受理を証明する文書の交付を要求した場合、捜査機関は、受理証明書を交付しなければならないか。

という設問です。


Aの方は、要約すると、

⑴ 捜査機関は告訴受理証明書を交付する法律上の義務はなく、交付の要求を拒否することに問題はない。

⑵ 実際的にも、告訴・告発は一般に公の捜査・調査の結果に基づいてなされるわけではなく、捜査の端緒となるものにすぎないのであるから、「告訴をした」とか「告訴が受理された」という事実は、当該告訴の内容となっている犯罪事実の嫌疑の存否・濃淡を確定ないし推定させるものではなく、そのような事実を基礎として重要な法律関係を決することには問題があるものと考えられるし(告訴受理証明書が存することで紛争を複雑にしてしまうこともあり得る。)、むしろ、捜査機関が関与しているという事実から関係者に何らかの嫌疑が存在するという誤解ないし予断を与えてしまう弊害の方が大きいように思われる。

⑶ そうすると、告訴受理証明書のような、事実上の効果が明確でなく、また、悪用の危険が書面は、特段の必要性がなければ交付しない取り扱いとするのが相当であると考えられる。

⑷ もっとも、告訴を受理したことが事実である以上、通常は、受理証明書すること自体が違法となるのでないし、例えば、捜査の適正に支障を生じない場合に、誤解を生じないような配慮をしながら、手形交換所からの照会に応じることは考えられよう。

ということが書かれています。

 

 ここでのポイントは、ずばり、「 捜査機関は、告訴受理証明書は交付しないようにしなさい」ということです。



 警察署でもらった連絡メモですが、このメモは「告訴事件受理番号を教えてください」という告訴人の求めに応じて、捜査機関が、 口頭でなく、文書で 受理番号 を教えてくれたもの という意味合いのものです。一種の行政サービスということでしょうか。

   愛知県警本部では、 口頭での受理番号の通知だけでしたが、こちらは 紙のメモ だったという違いでしかありません。

 

  連絡メモには、末尾に、「※2 このメモは、被害届の受理証明書ではありません。」と書かれていますが、この記載はメモを証明書であると誤解する人がいるため、証明書ではないということを明記しているだけのことです。

 

 

Q&A 実例 告訴・告発の実際

Q&A 実例 告訴・告発の実際

  • 作者: 加藤 俊治
  • 出版社/メーカー: 立花書房
  • 発売日: 2010/01/15
  • メディア: 単行本

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