期日間整理手続 [旬の話題]
商工ローン大手の「大島SFCG」(旧・商工ファンド)の大島健伸元会長が、保釈金1億5000万円を納付し、先週12日に保釈されたということです(13日のNHK Newsweb 「SFCG大島元会長が保釈」)。
大島健伸被告人は、会社が経営破綻する直前に約418億円の会社の債権を、親族の会社に事実上無償で譲渡したとして民事再生法違反等の罪に問われていますが、一昨年(平成22年)の6月の逮捕以降、2年余り勾留されていたことになります。
この大島被告人の公判は、昨年(平成23年)1月に第1回公判期日、同年3月の第2回公判期日が開催された後、期日間整理手続に付されていたということです(山岡俊介氏のブログ「情報誌『ストレイドッグ』(山岡俊介取材メモ)」の先週13日の記事(「<ミニ情報>丸2年ぶりーー「SFCG」大島健伸元会長が保釈に」)。
この山岡氏のブログによると第3回公判期日が今月20日に予定されているということです。
裁判所は、期日間整理手続が終わったということで、(大島被告人側からの証拠の後出しの可能性もないということで、)大島被告人の保釈を認めたようです。
大島被告人の事件は期日間整理手続に付されていたということですが、
期日間整理手続とは、
制度のことです(「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」(275頁))。期日間整理手続とは, 充実した公判の審理を継続的, 計画的かつ迅速に行うため, 第1回公判期日後の審理の経過にかんがみ必要と認められる場合に, 事件の争点及び証拠の整理を行う手続であり, 公判前整理手続と同時に導入された
建築士免許証の偽造 [旬の話題]
国土交通省は、昨日、資格を持たない3人が1級建築士の免許証を偽造し、建築士になりすまして働いていたことを公表しました(国土交通省住宅局建築指導課「偽造免許証の写しによる非建築士の違法業務等について」)。
住宅新報社が提供するYahooニュースによりますと、一級建築士の免許偽造が発覚した事例は今回が初めてだということだそうです。
事例は、三重県の個人建築士事務所の代表者、大阪府の大手建築士事務所の社員、新潟県の大手ハウスメーカーグループ会社の社員の3件です。
手口は、3件とも、正式に存在する一級建築士免許証の登録番号を利用し、氏名と生年月日を自分のものに偽造したというものです。
47Newsによると、大阪府の1名は偽造を認めているが、三重県と新潟県の2名は偽造を否定しているとのことです(「3府県で建築士免許偽造 国交省、全国調査へ」)。
国土交通省住宅局建築指導課は「偽造免許証の写しによる非建築士の違法業務等について」において、三重県と大阪府と新潟県の3名の方の氏名・生年月日を公表するとともに、発覚の経緯も詳細に明らかにしています。
ですが、報道では、朝日新聞だけが、大阪府の方については実名報道をしているだけで(朝日新聞関西版「所属の有名設計事務所で「室長」 1級建築士免許証偽造」)、他紙等はすべて匿名です。
また、三重県と新潟県の2名の方は全部、匿名報道です。 偽造を否認しているということが理由なのでしょうか。
今回の国交省の発表した、一級建築士の免許証を偽造した3つの事例について、発覚の時期、発覚した理由を基準にして整理をしてみました。
その結果は、
三重県の事例は平成23年3月で、建築行政共用データベースから、
大阪府の事例は平成24年5月で、建築行政共用データベースから、
新潟県の事例は平成24年4月で、免許証の写しの番号の確認から、
ということになります。
三重県と大阪府は、偽造の発覚に、建築行政共用データベースが力を発揮したというのようです。
ところで、この「建築行政共用データベース」とは、一体何なのかですが、「建築士、建築士事務所等の登録情報及び住宅・建築物のストック情報等に関するデータベースのことを言うようで、
データベースの一部となっている「建築士・建築士事務所閲覧登録システム」が、建築士と建築士事務所の登録閲覧をするためのシステムとなっているようです。
この「建築士・建築士事務所閲覧登録システム」ですが、
将来的には、全ての都道府県と都道府県ごとの建築士協会と建築士事務所協会を結ぶものとして構築されているようですが、
現時点では導入は完了していないようです。
とは言え、現時点で完成していないと言っても、ほとんどの都道府県と、建築士協会と建築士事務所協会には登録閲覧システム導入が済んでいる状態にあります。
もちろん、新潟県の場合も、新潟県も、新潟県建築士事務所協会も、「建築士・建築士事務所閲覧登録システム」の導入を昨年9月の時点で済ませています(「導入庁一覧」参照)。
新潟県の事例では、発覚の経緯について「新潟県建築士事務所協会が免許証の写しの登録番号を確認したところ、別人であることが分かった」と述べられいますが、
新潟県建築士事務所協会としては、一級建築士の登録番号は「建築士・建築士事務所閲覧登録システム」によって初めて確認が可能になるわけです。
そのため、新潟県の事例も、三重県と大阪府の事例と同様、建築行政共用データベースによって免許証の偽造を見破ることが出来たと言えるのではないかと思います。
厚生年金基金の有識者会議 [旬の話題]
昨夜(5月29日)、「第4回 厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議」が開催されたということです。
NHKによりますと(NHK/NEWSweb 「厚生年金基金 財政状況改善へ意見」)、
29日夜に開かれた厚生労働省の有識者会議では、基金の在り方を巡って意見が交わされました。
この中では、基金の財政状況を改善するため、「年金を減額するための条件の緩和を検討すべきだ」とか、「公的資金の注入も考えるべきだ」などの意見が多く出されました。
ということです。
でも、「公的資金の注入も考えるべきだ」という意見が出たという点に、強い違和感を感じました。
と言いますのも、厚生年金基金(以下「基金」)は強制的設立団体ではありません。
政策誘導されて多くの基金が設立されていることは間違いありませんが、基金は、
「基金を設立すれば、その基金で、企業と社員らが支払う保険料の一部を、国に任せるよりも高利回りの運用を自主的にできるので得だ」
という理由から、自主的に設立された団体であることは間違いありません。
そのため、基金の資産運用の失敗や財政運営が悪化によって、代行割れしてしまって国に代行返上も出来なくなってしまったからと言って、基金が国に代行返上ができるように、基金に公的資金を注入して損失を埋めてというのは余りに虫がいい話です。
基金財政に空いた損失を埋めるべき立場にあるのは、まず第一に、基金に加入している事業所や基金の加入者です。
そんなコンセンサス(=自己責任原則)の下で、基金の代行返上や解散などについて議論がされていました。
そのため、例えば、代行割れとなっている基金の代行返上では、「厚生年金基金が代行返上できるように条件を緩和すべきだ」といった内容での議論がされていたと思います。
この代行返上の条件緩和も、見方によっては、国に損失の一部を負担してもらうのと同じだとの見方もできないわけではありませんが、それでも、露骨に、「国が基金の損失分を代りに負担すべきだ」という意見ではありません。
そうしたところ、第4回の有識者会議では、「公的資金の注入も考えるべきだ」という意見が出たということで、基金の利益代表であれば別だが、いやしくも「有識者」と呼ばれるような人がそんなことを言うんかな? と思ったというわけです。
第4回有識者会議からが、年金の財政悪化への対応(年金減額や基金解散の要件緩和の是非等)を本格的に議論することが予定されていたということですので、早速、「公的資金の注入も考えるべきだ」という意見が出たということなのかもしれませんが、やはり、唐突な気がします。
有識者会議の構成員は、「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議開催要綱」別紙に名前が挙がっている、臼杵政治氏、翁 百合氏ほか計13名の方となります(下図参照)。
このメンバーを見てみると、何となく、誰が、「公的資金の注入も考えるべきだ」と言ったのかが想像できます。
でも、間違ったことを言ってはいけませんので、第4回有識者会議の議事録が公開されるであろう約一月後までとっておくことにします。
『テルマエ・ロマエ』 [旬の話題]
今日は、家族4人で、109シネマズ名古屋に、「テルマエ・ロマエ」の映画を見に行ってきました。
映画は大好評のようで、私たちが見た次回も、次々回も、切符は売り切れでした。
家族連れが多い気がしました。
ウチと同じで、「ゴールデンウィークとは言え、旅行には行けないので、映画でも」という家族が多いのかも知れません
「テルマエ・ロマエ」の映画では、日本人の阿部寛や、市川正親らが、ローマ人を演じるということだったので、「大丈夫なんだろうか」と不安な気持ちでしたが、
阿部らが演ずるローマ人には、さほど違和感は感じませんでした。
映画は、ヤマザキマリ原作の同名の漫画を映画化したものですが、漫画の雰囲気を、映画はそれなりにキープしていたんではないかと思います。
漫画は4巻まで出ています。第1巻を最初に読んだとき、「こんな発想の漫画を書ける人がいるのか」と唸りました。
漫画をお読みになられていない方であれば、「お読みになられても損はない」とおもいます。お薦めです。
この「テルマエ・ロマエ」の舞台は、5賢帝の1人のハドリアヌス帝の時代です。
ハドリアスヌス帝は、世界遺産にもなっているブリタニア(イギリス)の「ハドリアヌスの城壁」が有名ですが、帝位は西暦117年から138年でした。
4月初旬に、 ローズマリ サトクリフ原作の同名の本を映画化した「第九軍団のワシ」という映画を見ました。
映画は、紀元117年にハドリアヌスの城壁の北でローマの第9軍団の5000人が消えてしまったことをモチーフにした話なのですが、
「テルマエ・ロマエ」の漫画を読んでいるときも、「第九軍団のワシ」の映画を見ているときも、大事なことに気付きませんでした。
何に気付かなかったかと言いますと…。
「テルマエ」では、ハドリアヌス帝の後継者であったルキウスの死亡が漫画(3巻だったかな?)に描かれていますが、ルキウスの死亡は紀元138年1月ということになります。
次に、「第九軍団のワシ」では、第9軍団の5000人が紀元117年に失踪してから20年のお話という設定ですから、紀元137から翌年の138年のことが描かれていることになります。
したがって、「テルマエ」も「第九軍団のワシ」も、紀元137-8年ころのことを描写したお話になるんですね。
気付きませんでした。
ウィキペディアでの削除依頼 [旬の話題]
ウィキペディアの「尖閣諸島」の項目では、おととい、削除依頼が出たため、現在、削除についての審議中です。
削除依頼があったのは、個人名の記載の削除依頼ということですが(Wikipedia:削除依頼/尖閣諸島20120417)、個人名の記載のうち、どの記載のことを言っているのかよく分かりません。
なかなか、ウィキペディアで、削除依頼中の画面に、お目にかかる機会がないので、アップしました。
削除依頼の審議中に、たまたま居合わせたのは、私も初めての経験です。
桜祭りの中止 [旬の話題]
名古屋も桜満開。写真は、事務所に近い、那古野神社(なごのじんじゃ)の桜を、今朝撮った写真です。
那古野神社社では、例年、この時期に『桜祭り』が開催され、境内に屋台が出て大賑わいでした。缶ビール1本 700円はボリ過ぎではありましたが、楽しみは楽しみでした。
しかし、昨年は東日本大震災のために中止。
「今年こそは」と思っていましたところ、次のお知らせが。
お知らせ
例年、神社境内にて屋台等が出ております『桜祭り』は本年より開催を中止する運びとなりました。
楽しみされていた皆様には、誠に申し訳御座いませんが、本来の神社境内のあり方、近年の桜祭りにおける状況を鑑み、取止めと相成りましたので、御理解頂きますよう御願い致します。
また神社境内において、団体少人数を問わず、飲食物等を持ち込んでの花見は一切禁止致します。御協力を御願い致します。
那古野神社社務所
今年だけ中止ではなく、屋台が出る『桜祭り』は取り止めということのようです。
ゴミの出し方が悪いとか、不衛生だとか、うるさくて近所迷惑だ、という近所の方の不満の声もあったようですが、残念ではあります。
『桜祭り』の取り止めは、的屋(テキ屋)に利益を落とさせることは、結果として暴力団を助長することになるので、暴力団排除条例の事業者の義務に触れるという理由からなのでしょうか?
神社本庁は、全国の神社庁に対し、暴力団排除条例が全国で施行されたことを受けて昨年11月に、暴力団の集団参拝が「暴力団の活動を助長する恐れがないか留意してほしい」とする文書を送っていたということです(47NEWS 「暴力団の集団参拝拒否へ 神社本庁『助長に留意を』」)。
「名古屋という保守的な土地柄故の過剰反応」でなければいいのですが、どうなんでしょう。
消費者金融、残高下げ止まり? [旬の話題]
「ニッキン」という、発行部数10万部のわが国最大の金融専門紙をご存じですか?
私は全然知りませんでしたが、たまたま、1月13日号を読む機会がありました。
同号の特集記事「新局面の消費者ローン市場、大手行・相次ぎ攻勢に動く」では、
「消費者金融業界はここ数年、前年比減少が続いていた月間の新規貸付額が昨年7月から初めて増加に転じ、その後も増え続けている。
ローン残高は現在約3兆円台と過去4年間で約6割減少したが『相応の資金ニーズで2~3兆円水準の市場が維持される』との見通しもある。」
という解説記事が載っていました。
消費者金融(=サラ金=消費者向無担保貸付)は、過払金請求と、平成18年の貸金業法改正の総量規制で、壊滅的な打撃を受け、貸付残高は前年比2~3割の減少という状態にありました(金融庁作成の「業態別の貸付残高(各年度末)」参照)。
昨年(平成23年)7月から新規貸付額が前年同月比プラスの状態が続いているということで、いよいよ過払金バブルも本格的に、はじけて終息に向かうようです。
日本貸金業協会はホームページ上で、消費者金融業態の月次データを公表していますが(「月次統計資料」)、
この月次実態調査は、消費者金融業者17社の協力を得て、作成されているということで、貸付残高の90.5%をカバーしているということだそうです(「月次実態調査とは」)。
有象無象の中小の消費者金融業者が淘汰され、寡占化が進み、その結果として、月次実態調査の精度が上がるということとなっているようです。
下図は「当月概況」という表で、2012年1月分の消費者金融業態の貸付残高、新規貸付額等を整理したエクセルの表です。その表の一部をキャプチャーしたものが下図です。
統計資料として、「当月概況」のほかに、2011年4月から2012年1月までの期間の「当月概況」を整理した「詳細時系列データ」という表があり、その表の方が、月ごとの変化を追うのに適していると言えますが、表をブログにアップするには、あまりに大作で、上手くいきません。
そのため、「当月概況」の「消費者金融業態の消費者向けの無担保貸付」の表を載せて、お茶を濁すことにしました。
記事の内容が正しいかを、「詳細時系列データ」を見て確認してましたが、確かに、消費者金融業態の消費者向けの無担保貸付の月間貸付額は、2011年(平成24年)7月以降、前年同月比プラスになっています。
数字的に言いますと、2011年5月には32%減、翌6月には0%だったのが、7月と8月は、それそれ23%増、9月は22%増、10月は37%増、11月は26%増、12月は24%増、そして2012年1月は上図のとおり、27%増となっています。
新規貸付の増勢のトレンドは間違いなさそうです。
消費者金融業態の消費者向けの無担保貸付の貸付残高は、2012年1月時点で、約2兆5000億円で、昨年1月が3兆円1000億円だったことからすれば、まだ減少傾向が続いていると言えます。
しかし、新規貸付が前年同月比増加の傾向にあることからすれば、早晩、下げ止まることになりそうです。
虚偽報告、上司の指示か ? [旬の話題]
昨日の産経ニュース(「石川議員の虚偽報告書、上司の指示か 複数検事、関与の可能性」)によると、田代検事の報告書は上司の指示で書き換えられた可能性があることが分かったということだそうです。記事のヘッドは次のとおりです。
強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告 (69) の元秘書、石川知裕衆院議員 (38) を取り調べた田代政弘検事 (45) が捜査報告書に虚偽の記載をした問題で、田代検事が報告書を作成した後、上司の指示を受けて書き換えた可能性があることが15日、関係者の話で分かった。
田代検事を含む複数の検事が報告書の「改変」に関与していた疑いが浮上した。検察当局は虚偽記載の背景にこうした指示があったとの見方を強めており、当時の上司らからも説明を求める方針だ。
先月26日の朝日デジタルの記事(『虚偽供述』を上司引用 東京地検、小沢氏捜査で」)では、
「田代検事の当時の上司であった特捜副部長が、田代検事の捜査報告書の作成日の2日後である平成22年(2010年)5月19日付の捜査報告書を作成し、
その副部長が作成した捜査報告書は、石川議員らの供述調書をはじめとする証拠を評価し、小沢氏を起訴できるか検討した状況をまとめたもので、
当時の佐久間達哉・特捜部長あてのものだった」、
ことが既に報道されています(2月29日のブログ「特捜副部長の名前は匿名?」参照)。
それを踏まえると、今回の産経ニュースは、 『田代検事が報告書を作成後、上司の指示で、報告書の書き換えをさせられていた』 ことがポイントになるんでしょう。
指示は、直接の上司である特捜副部長の指示だったのか、あるいは、その副部長の上司であった特捜部長の指示だったのか。
また、田代検事に指示をした上司とは、誰なのか、また、なぜ実名報道しないのか、ヤキモキします。
事態はここまで煮詰まって来ているのに、田代検事の当時の上司であった特捜副部長の実名ぐらいは報道してもいいんではないかと思います。
なお、この産経のニュースの他社の後追いはないようです。
石丸弁護士のインタビュー [旬の話題]
ダイヤモンド・オンラインでは、「弁護士会の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年」という連載が先週からされています。
今日、「 【第2回】 『回転寿司事業の最終目標は海外展開 !弁護士法人は今後10年で約6倍にする … 石丸幸人・アディーレ法律事務所代表弁護士』」の配信がありましたが、今回は石丸弁護士へのインタビューでした。
石丸弁護士は、
弁護士界全体のマーケットにおいて過半数が債務整理関連であり、過払い案件がなくなったらどうするかと考え、弁護士業務ではない分野でのビジネスを検討し、FCによる回転寿司の経営をすることになった。
回転寿司の経営は、(実質的な)所有者を石丸弁護士とした弁護士法人と株式会社との間で、資金と雇用の異動を可能にすることにより、(事業継続上の)リスクヘッジを図るためである。
回転寿司の経営については、海外展開も狙っている。
弁護士事務所の経営戦略としては、一つは、地方に支店をつくって弁護士需要を掘り起こしていくことを、もう一つは、過払いの他に交通事故や離婚などの分野を取り扱っていくことを考えている。
支店については、最終的に地方裁判所の本庁と支部が所在する235ケ所の支店設置を考えている。
その際のアディーレ法律事務所の所属弁護士数は400~500人を抱えているイメージである。
とインタビューに答えています。
また、石丸弁護士は、記者の
「弁護士界には伝統的に『成仏理論』というものがある。つまり、弁護士としてカネを儲けてはならない、と。
また、アメリカのように『企業やM&Aなどを専門にした法廷に立たない弁護士』がもっといるべきだという意見もある。
日本の社会に合う弁護士とはどういうものだと考えるか。」
との質問に対し、
突き詰めて行くと、弁護士は法律というサービスを提供しているが、他の業界の人たちと違うことはないということだ。
弁護士だから、公的な役割があって手弁当で人権問題をやるから、だから競争するようなことがないようにしてほしい、というのは違う。
基本的にわれわれは自営業者だ。
他の多くの企業に勤める人たちと変わりはない。
そもそも、「競争制限しないと、ボランティアはやらない」というのがおかしい。
ボランティアは強制されるものではない。任意でやるものだ。
収入がない人でも、ボランティアやりたいという意思がある人は、やっているでしょう?
手弁当で報酬がもらえないような弁護もやるから、普通の会社に勤めている人たちよりは報酬を高めにしてね、というのが何十年も続いて来た弁護士界。
弁護士バッヂにプレミアムをつけてね、だった。
私は、このバッヂは「入場券」でしかないと思っている。法律サービスを提供できる、参加証です。
繰り返すが、弁護士というと収入が一生保障されている人、という認識がある。
若い人もそういう意識があるのだろう。
だから、司法試験に合格したら安定している裁判官や検察官になりたいという人が増えているのだと思う。
と答えています。
どう受け取るかは、人それぞれです。私は石丸弁護士の考え方は嫌いではありません。
が、私には一つだけ疑問があります。
石丸弁護士は、ダイエーの「主婦の店」のように、弁護士報酬をディスカントして、業界内の報酬価格の価格破壊を実践しているわけではないようです。
それなのに、弁護士報酬が、ぼったくり料金であるかのような点を、問題とされている理由がよく分かりませんでした。
そんなことよりも、インタビューでは、端的に、
アディーレ法律事務所のコアコンピタンスは何であるか、
また、それを今後、どのように強化していくつもりであるかを、
代表である石丸弁護士の口からお聞きしたかったと思います。
外国弁護士の法人設立容認へ [旬の話題]
今日午前の閣議で、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(外弁法)改正案を可決したという報道が先程ありました(yomiuri online「「外国弁護士の法人設立容認へ…複数の事務所OK」)。
改正のポイントは、(これまで認められていなかった)法人としての外国法事務所開設を認め、(日本の弁護士を雇い入れて、)日本各地に複数の支店を開設することが可能となる、ということになります。
政府は同改正案の今国会成立を目指すということだそうです。
私のような、田舎の弁護士には関係はないでしょうが、大手渉外事務所にとっては、来るべき時が来たとは言え、戦々恐々でしょう。
ちなみに、外弁法の改正が、急を擁する政治日程に上っていたことを、私は無知のため、全然知りませんでした。
でも、法務省は「外国弁護士制度研究会」を設置し、平成21年12月中には検討を終えていたようで、むしろ、2年以上、店晒しになっていた改正のようです。