診療報酬請求権を債券化 して販売していた MRI インターナショナル が、
顧客約8,700人から預かった資産約1365億円を運用せず、預け金を配当や社員の給料や経費などの支払いにまわすなどしており、預かり資産が流出資金の大半が失われている可能性がある
とのことです(朝日新聞デジタルの記事「国内顧客資産1300億円消失か 監視委、処分勧告へ」)。
この朝日の記事からは明かでありませんが、日経(「顧客資産1300億円消失か 米MRI、金融庁が行政処分」)によると、
金融庁や証券取引等関し委員会はAIJ事件後、顧客の資産を預かる投資顧問などへの検査を強化していた、
その流れで、証券取引等監視委員会が、MRI インターナショナルに 今年3月から検査に入り、顧客資産の一部が不明である点を把握し、
今回の件が発覚したようです。
この MRI インターナショナル が販売していた、診療報酬請求権を証券化した金融商品は、
円建てで投資可能で、しかも元利確定、
年利は 6.0~8.5 %、
為替リスクはなし、
というものですが、そんな有利な金融商品、あるわけがありません。
5年以上前に出版された、
2007年(平成19年)8月30日発行の週刊ダイヤモンド金融商品特別取材班編著
では、このMRI インターナショナル の金融商品を取り上げています。
「元利確定で年利 6~8 % 「診療報酬請求権」の秘密」
と題する記事がそれで、タイトル脇の要約には、
にわかに信じがたいような超高利回り金融商品がある。
しかし、あらゆる金融商品がそうであるように、高リターンの裏には高いリスクがあるはずである。
落とし穴はないのか検証してみたら、さまざまな落とし穴が仕掛けられていた。
と書かれています(同書75~80頁)。
のっけから「怪しげ」と言っているかのようです。
この記事によると、MRI インターナショナル は「顧客は日本に約 7,800人いる(2006年12月現在」と
と公表していたということで、6年以上前の時点で、今と さほど変わらない顧客を既に集めていたようです。
また、MRI インターナショナルに取材申し込みをしたが、
「基本的に取材は受けない方針」ということで回答をもらえなかったということです。
記事は、為替リスクがない点のほかに、端的に、
「こんなにいい商品? を なぜ機関投資家がほかっておくのか」
と疑問点を述べ、MRI インターナショナル の金融商品が胡散臭いことを、するどく、逆説的に、指摘しています。
この記事を読んでいれば、 MRI インターナショナル の金融商品を買う人などいないのではないかと思います。
MRI インターナショナル が販売していた診療報酬請求権を証券化した金融商品の方が、
昨年のAIJ投資顧問のよりも、よほど 怪しげに思えるのですが、
豊田商事事件の場合と同様に、売り子を使って、高齢者に押し売りでもしていたのでしょうか。
そんなことよりも何よりも、こんな会社が、AIJよりも長生きし、 6 年以上も 延命できていたこと自体、驚きです。
金融当局は何をしていたのでしょう。
(参考)
MRI インターナショナル の金融商品取引業者登録は、関東財務局長(金商)第1881号で、登録年月日は平成20年6月4日となります。
また、鈴木順造という人物が日本での代表者のようですが、 MRI インターナショナル は日本では法人登記はしていない模様です。