前回は、不動産仲介業者から紹介料を受け取ると弁護士職務基本規程13条2項違反となるという話でした。

紹介料を受け取っちゃダメというのは、「(弁護士職務基本規程の解説には)そう書いたるかもしれんが、何か、おかしないか?」と思われる方の方が多かったのではないかと思います。なぜなら、私自身がそうなんですから。                      

この弁護士職務基本規程13条2項ですが、13条2項の「弁護士は紹介料を受け取ってはいけない」に類する規定は、弁護士職務基本規程の制定に伴い廃止された旧弁護士倫理(平成2年3月2日制定)にはありませんでした。

旧弁護士倫理には、

(依頼者紹介の対価)

第13条 弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならない。

 との規定は存在しましたが、「紹介料を受け取ってはいけない」との規定はなかったわけです。つまり、「紹介料を受け取ってはいけない」との弁護士職務基本規程13条2項は、平成16年に弁護士職務基本規程が制定の際、新設されたというわけです。

私は平成4年に弁護士登録をしていますので旧弁護士倫理とともに弁護士として経験を積んできたことになるわけですが、「(旧)弁護士倫理には、紹介料は払っちゃいけないという規定もあるし、貰ってもいけいいと規定されている」と(勝手に)思い込んでいました(ハズカシイナァ…)。

「何のために規定されたの?それまで必要じゃなかったの?」と、疑いの目で13条の2項の解説を見直して見ると。

13条2項の解説の最後の部分に、「…外国法事務弁護士が日本の弁護士に依頼者を紹介し日本の弁護士がその対価を支払った場合に、支払をなした日本の弁護士だけが違法を問われ、受領した外国法事務弁護士は何ら違反にならないとの解釈を生むおそれも生じる。2項は、こうした立法事実を背景に規定されたものである。」と記述されていることに目が行きました。

弁護士職務基本規程では第6条で『品位の高揚』を定めていますが、紹介料の受取りが、依頼者の利益を奪って、その奪った利益が弁護士の紹介料となっている場合にはこの6条に違反することになり、懲戒の対象になるというのが大方の理解ではないかと思われます。

紹介料の受取りは弁護士職務基本規程6条でカバーできるのであれば、敢えて、13条2項を規定することは本当に必要だったのだろうか?という疑問が沸いてきました。

もしかしたら、13条2項は、外弁(ガイベン)アレルギーによって規定された、外弁が紹介料を取って仕事を日本に回すことを禁圧するために明文化されたわけではないでしょうね?

何か疑わしいですね。

弁護士職務基本規定

(名誉と信用)

第6条 弁護士は、名誉を重んじ、信用を維持するとともに、廉潔を保持し、常に品位を高めるように務める。