名古屋市内の繁華街でも、
270円(税込284円)均一や、280円(税込294円)均一の居酒屋の看板をよく見かけますが、
車の助手席に(何もすることなく)乗せていただいた際に、ふと、
「270円均一だと、消費税は13.5円になるのに、何んで、円未満を切り捨てて、『税込293円』とはしないで、『税込294円』としているんだろう?」、
「1円でも安ければ、客への訴求力があるだろうに」
と、どうでもいい疑問が頭にもたげました。
(以下に述べていることは、いろいろ調べた結果となります。間違いはないと考えていますが、100%自信があるわけではありませんので、その前提でお読みください。)
調べてみると、
まず、消費税の総額表示(消費税法63条)の関係では、
「税抜価格」に上乗せする消費税相当額に1円未満の端数が生じる場合には、その端数を、「切捨てるか」、「切上げるか」、「四捨五入するか」は、事業者が決めてよい
となるようです( 財務省HPの「総額表示Q&A」の「Q7 現在の『税抜価格』を基に『税込価格』を設定する場合に円未満の端数が生じることがありますが、どのように処理して値付けを行えばよいのですか。」参照)。
つまり、税抜270円であれば、店としては、「税込283円」、あるいは、「税込284円」のどちらにしてもいいわけですが、
「税込283円」= 「店は、客の消費税について、1品あたり 0.5円を負担してあげることになる 」、
「税込284円」= 「店は、客の消費税は負担してあげないことになる」、
という関係に立ちます。
お客さんを誘引するためには、お品代が 1 円でも安いに越したことは間違いないことでしょう。
ですが、お客さんの消費税を、お店が、
1品あたりの 0.5円 を負担してあげるだけだとしても、
お店の月間売上げ品数が3万品であれば、
店の負担は月1万5000円で、年間なら18万円となります。
(三光マーケティングフードのHPでは、「金の蔵Jr」のコストシュミレーションでは、月次売上800万円を想定しています。
このデータから、800万円÷284円 ≒ 2万8169品となることから、1店舗あたりの 「月間売上げ品数」を 3 万品とラフな推計をさせていただきました。)
100店舗も チェーン展開しているのであれば、チェーン全体での年間18百万円の負担です。
いずれにせよ、
「税込284円」と「税込283円」の1円だけの違いでは、
「お店が、お客さんの1品あたり0.5円分の消費税を負担してあげても、トータルでは利益は増えない」
との判断で、
「税込284円」としているんでしょう。
「税込283円」の店を見かけないのは、そんな訳かな。
(参考)
事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、
不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行う場合(専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。)において、
あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、
当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。
※ 総額表示義務は 消費税法63条の2 に当初規定されていたようです(国税庁のHPの「No.6383 課税標準額に対する消費税額の計算の特例」では、改正が反映されておらず、「消法63の2」のままになっています。)。
(いつの改正で、条文が繰り上がったのかまでは確認しておりませんが、) 改正によって、消費税法63条の2 から 63条に繰り上がったようです。