弁護士である自分は、全く意識していませんでしたが、弁護士保険(弁護士費用保険)は、弁護士に法律相談や委任をした場合だけに、保険金が支払われるわけではないんですね。

行政書士さんに支払った報酬や、法律相談費用もその対象となるんですね。

ほとんどノーマークでした。

 

 

例えば、東京海上日動の「トータルアシスト自動車保険(総合自動車保険)」の

ご契約のしおり(約款)」 108~112頁に載っている ⑥弁護士費用等補償特約(自動車)は、

第2条(この特約の補償内容)  第1項で、

(1)  当会社は、被保険者が対象事故によって被った被害について、保険金請求者が法律上の損害賠償請求を行う場合に弁護士費用を負担したことによって生じた損害に対して、この特約の規定にしたがい、弁護士費用保険金を支払います。

と、弁護士費用保険金を支払うことを定めています。

同条第4項は、

(4)   この特約において、弁護士費用および法律相談費用とは下表のとおりとします。

①  弁護士費用

あらかじめ当会社の同意を得て弁護士、司法書士、行政書士、裁判所またはあっせんもしくは仲裁を行う機関に対して支出した弁護士報酬、司法書士報酬もしくは行政書士報酬、訴訟費用、仲裁、和解または調停に必要とした費用

② 法律相談費用

法律相談の対価として弁護士、司法書士または行政書士に支払われるべき費用

と、「弁護士費用」と「法律相談費用」について、それぞれ定義を定めています。

というわけで、

行政書士さんへの報酬・法律相談費用の支払いについても、保険会社が同意をしているという前提の下で、

弁護士特約の保険金が支払われることになります。  

 

ところで、「行政書士の法律相談とは何ぞや?」ですが、

第4条(用語の定義)の第2号で、

法律相談

法律上の損害賠償請求に関する次の行為をいいます。

ただし、口頭による鑑定、電話による相談またはこれらに付随する手紙等の書面の作成もしくは連絡等、一般的にその資格者が行う相談の範囲内と判断することが妥当である行為を含みます。

ア.   弁護士が行う相談

イ.   司法書士が行う、司法書士法第3条1項第5号および同項第7号に定める相談

ウ.   行政書士が行う、行政書士法第1条の3第3号に定める相談 

と定義されています。

 

 

行政書士さんの法律相談については、「行政書士法第1条の3第3号に定める相談」が法律相談であると定義されています。

行政書士法第1条の3第3号は「前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること」と規定しているので、

その前条となる同法第1条の2を見て見ますと、

第1項では行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調を作成することを業とする」と、

第2項では「行政書士は、前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない」と規定しています。

したがって、

他の法律で制限されていない範囲内での、権利義務、事実証明に関する書類作成についての相談

が、行政書士さんの行う法律相談として予定されていることになります

         

交通事故の場合ですと、全ての相談は、将来の示談書作成に向けた相談だと言いえます。

また、相談段階における、行政書士さんの業務を制限する法律などありません。

弁護士保険において、保険金の支払対象となる「行政書士の法律相談」(の範囲)は、

弁護士のそれと一緒で、違いはないということになるのでしょう、多分。

 

  

 

 (参考)

行政書士法

(業務)

第1条の2

1 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。

2 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。

第1条の3 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。

 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第3号 に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法 (昭和24年法律第205号)第72条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。

 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。

 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。

 

司法書士法

第3条

1   司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。

  登記又は供託に関する手続について代理すること。

  法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。 

 三  法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。

  裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法 (平成16年法律第123号)第6章第2節 の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第8号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。

  前各号の事務について相談に応ずること。

  簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。ただし、上訴の提起(自ら代理人として手続に関与している事件の判決、決定又は命令に係るものを除く。)、再審及び強制執行に関する事項(ホに掲げる手続を除く。)については、代理することができない。

  民事訴訟法 (平成8年法律第109号)の規定による手続(ロに規定する手続及び訴えの提起前における証拠保全手続を除く。)であつて、訴訟の目的の価額が裁判所法 (昭和22年法律第59号)第33条第1項第1号に定める額を超えないもの

 民事訴訟法第275条の規定による和解の手続又は同法第7編の規定による支払督促の手続であつて、請求の目的の価額が裁判所法第33条第1項第1号に定める額を超えないもの

 民事訴訟法第二編第四章第七節 の規定による訴えの提起前における証拠保全手続又は民事保全法 (平成元年法律第91号)の規定による手続であつて、本案の訴訟の目的の価額が裁判所法第33条第1項第1号 に定める額を超えないもの

 民事調停法 (昭和26年法律第222号)の規定による手続であつて、調停を求める事項の価額が裁判所法第33条第1項第1号 に定める額を超えないもの

 民事執行法(昭和54年法律第4号)第二章第二節第四款第二目 の規定による少額訴訟債権執行の手続であつて、請求の価額が裁判所法第33条第1項第1号 に定める額を超えないもの

 民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法 の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第33条第1項第1号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。

 筆界特定の手続であつて対象土地(不動産登記法第123条第3号 に規定する対象土地をいう。)の価額として法務省令で定める方法により算定される額の合計額の二分の一に相当する額に筆界特定によつて通常得られることとなる利益の割合として法務省令で定める割合を乗じて得た額が裁判所法第33条第1項第1号 に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は代理すること。

2  前項第6号から第8号までに規定する業務(以下「簡裁訴訟代理等関係業務」という。)は、次のいずれにも該当する司法書士に限り、行うことができる。

 簡裁訴訟代理等関係業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了した者であること。

 前号に規定する者の申請に基づき法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者であること。

 司法書士会の会員であること。

3~8 ( 略)