昨日、地裁に動産売買の先取特権に基づき動産競売の申立てをしました(大阪地裁HPに申立書ひな型がupされていますので、どんな申立てなのかはそれを見てみてください。)
平成15年の民事執行法改正によって、動産売買の先取特権を使った債権回収がやり易くなると 喧伝されてましたので、
一回は申立てをしたいと思い続けていたのですが、
ご縁が全くありませんでした。
そんな思いを持っていた私は、当然、体験意欲旺盛なので、
申立ての際に担当書記官に、何件ぐらの申立てがあるのを尋ねてみました。
返事は、
今年は先生のが初めて、昨年はなかった
というものでした。
そんなもんかなと想像してはいたのですが、やはりそうなんですね。
私は
「ほとんどの場合、物は転売され、売買代金の決済も済んでしまっているであろうから、先取特権を使える場面なんて、本当にあるのだろうか」
と思っていましたが、申立件数からは想像していたとおりのようです。
債権回収の可能性があるのであれば、申立てだけはしておいて、見込みがないのであれば、取下げるという行動を採るでしょうから、申立件数はそれなりにあるはずです。
申立件数自体が、ほとんどないということは、可能性すらないため申立てがないことを示しています。
実際、全国的にはどうなのでしょう。
動産競売開始申立事件の申立件数の年次推移ですが、
2015年3月発行新民事執行実務No.13に、内田義厚早稲田大学教授(前東京地方裁判所判事)の「論説・解説 改正担保・執行法施行10年の評価と課題」(同書3~14頁)という論文の中でデータを掲載されています。
下表は、内田教授の論文中に掲載されている、全地裁における申立件数(=新受件数)と、東京地裁のそれを、対比して整理したものですが、表から明らかなことですが、
動産競売開始申立事件の件数は、
東京地裁でも年に数件、全国では年100件程度
というわけで、ほとんど申立てがないことを表しています。
動産先取特権に基づいた動産競売の申立ては 全国的に見てもレアで、
ネット上では 申立てについての説明をしているホームページはあるものの、
体験した人は余りいないため、体験記が書かれた記事が見つからないということのようです。