ソニー創業者故盛田昭夫氏の長男盛田英夫氏が代表取締役会長を務める「ジャパン・フード&リカー・アライアンス」において、盛田英夫氏が不適切融資に関与していた疑いがあることが、監査法人の指摘で分かったとの報道がありました(産経WEST2015年11月11日 「ソニー創業者長男が不適切な融資2億3千万円の疑い  大阪の食品会社、ジャパン・フード&リカー・アライアンス」)。

 

盛田英夫氏のお金の使いっぷりのよさは有名な話でありましたが、

今年3月に盛田英夫氏の母盛田良子氏(盛田昭夫氏の妻)が亡くなられ、早晩、何か起きそうな気配を感じてはいました(Business Journal2015年4月20日「ソニー創業家・盛田家の没落と信用失墜  長男の事業ことごとく失敗で巨額損失」、東洋経済ONLINE2015年2月23日付高橋篤氏の記事「ひっそりと財団を解散、盛田家の凋落止まらず」参照)。

 

ところで、産経WESTは、「ジャパン・フード&リカー・アライアンス」が、

「盛田英夫氏が会長の持ち株会社」

と表現していますが、「持ち株会社」という言葉をどういう意味で使っているのでしょう。 

ジャパン・フード&リカー・アライアンスは、れっきとした 東証2部上場の公開会社で、盛田英夫氏のプライベート・カンパニーではありません。誤解を招くのではないでしょうか。

 

記事のテーマは、盛田英夫氏の不適切な融資への関与という点にあるわけですが、それが発覚したのは監査法人の指摘によるもので、監査法人のお手柄であるかのように思ってしまいますが、実情は、少し違うようです。

会社が2015年9月期の決算公表の延期を公表した際に、公表されたニュースリリースである

「平成27年9月期決算短信の開示時期の延期並びにこれに係る経緯として当社代表取締役会長への便宜供与に係る疑義に対する独立調査委員会の調査及び当該調査の結果を踏まえたガバナンス体制の検討当に関するお知らせ」

にある、別紙2「独立調査委員会の調査報告書<要約版>」 の箇所を読んでみると、まず、盛田英夫氏の不適切な融資ですが、それは、

ジャパン・フード&リカー・アライアンスは、2009年9月、100%子会社であったモリタフードサービス(株)を盛田英夫氏が実質的に支配する Morita & Sons.inc. に売却した。

ジャパン・フード&リカー・アライアンスは、モリタフードサービス(株)に貸付債権等の債権を有していたが、回収可能性が見込めないとして2011年9月期に55百万円、2012年9月期に75百万円、2013年9月期に154百万円、2014年9月期に1百万円について貸倒引当金を繰入れ、モリタフードサービス(株)に対する債権227百万円全額について貸倒引当金が計上した。

モリタフードサービス(株)は、2012年10月9日、事業の一部を譲渡し、譲渡代金3億3000万円を受け取っているが、その譲渡代金はジャパン・フード&リカー・アライアンスへの債務返済には一切当てられていない。

ということだそうです。

それ以外にも、盛田英夫氏は、

盛田英夫氏の関連会社や関係者への業務委託費名目での資金を流出させた。

とか、

 ジャパン・フード&リカー・アライアンスが金融期間から融資を受ける際、盛田英夫氏が連帯保証を2008年にした際に、保証額の1%の保証料が支払われていることだとか、

ジャパン・フード&リカー・アライアンスから、2008年12月以降、1000万円超の資金の貸付けが、モリタフードサービス株式会社、Morita&Sons Inc.、盛田英夫氏個人に対して繰り返し行われていること

だとかをされているということだそうです。また、少しセコくないかと思ってしまう、

盛田英夫氏が、JRエクスプレスカードで、回数券を購入し、235万6000円を換金化し、利益を得ているのではないか 

との指摘もされています。

 

 

今回の件、監査法人の指摘で発覚したということは間違いではありませんが、これ以上関わっていると間違いなく責任を取らされる状況にまで来てしまったため、先手を打って、訣別を申し入れただけではないかと妄想してしまいます。

今回の件、少なくとも代表訴訟ぐらいはそ提起されることでしょうから、実際、どのような関わりを何時から持っていたのかについては、訴訟の過程で明らかとなることでしょう

いずれ、はっきりすることでしょう。