厚生労働省が実施した調査によって、

「国民年金加入者の世帯所得が1千万円以上の人の7.8%が過去2年間1度も保険料を納付していなかったこと」

が判明したとのことです(共同通信2016年2月16日「国民年金、1千万円世帯7%未納  厚労省、高所得への強制徴収強化」)。 

 

どうして、所得1千万円以上の7.8%が保険料を2年間1度も納付していなかったことが分かったについて、記事は、

「2014年3月末時点の加入者から無作為に選んだ約12万3千人の所得や2年間の納付状況を調べたほか、

郵送による調査で約2万3千人から回答を得」

て分かったかのような説明をしています。 

       
 
ところで、2年前(2014年(平成26年))の1月23日の日経新聞では、
    
厚労省は23日、自営業者らが加入する国民年金の納付率向上に向けた対策をまとめた。
    
所得400万円以上で、保険料を13カ月以上滞納している人を対照に資産を差し押さえるなど強制徴収に踏み切る。
     
(中略)
   
4月から順次実施する。
      
と、厚労省が国民年金の保険料滞納者への徴収強化を図る方針を決めたことを報じていました(日経新聞2014年1月23日「国民年金滞納者、所得400万円以上で差し押さえ  厚労省方針」) 。
 
 
この日経の記事によると、年金機構は、
 
「電話や個別訪問などで納付を督促しても応じない滞納者には、まず督促状を送り、納付時効を停止させる。その後さらに納付を求めても応じない場合は、年金機構の職員が銀行口座や有価証券、自動車など財産を調査し、処分できないよう差し押さえる。」
   
との措置をすることを決めたということです。
          
   
二つの記事を読み比べていて疑問が湧いてきました。    
   
それは、 
  
2014年(平成26年) 4月以降、所得400万円以上で、保険料滞納13カ月以上の者に対し、差押えなどをしているはずですなのに、
     
世帯所得が1千万円以上の人の7.8%が過去2年間1度も保険料を納付しない 
      
なんてことが起きるのだろうかという疑問です。 
     
     
     
厚労省は、所得400万円以上の国民年金加入者の年金保険料の支払状況を把握可能なわけですから、所得1千万円以上の国民年金加入者の支払状況も当然、把握できているはずです。
 
過去2年間1度も年金保険料を支払っていない所得1千万円以上の国民年金加入者についてですが、これは、年金保険料を24カ月連続滞納しているということです。
 
所得1千万円以上の滞納者の方は、どんなに遅くても、滞納13カ月目を迎えた時点で、所得1千万円以上の国民年金加入者には年金機構から納付督促を受けているはずで、督促を無視して不納付を続けていれば、 財産の差し押さえも受けたりしているはずです。
   
そんなことをされた所得1千万円以上の人が、保険料の滞納を続けてるなんてことあるのでしょうか。
                       
   
ちなみに、国民年金の年金保険料は 月15,590円 。