長田龍亮 さんという方が、貧困ビジネス施設での生活体験を著した 「潜入 生活保護の闇現場」という題名の本を読みました。
   
   
長田さんは、土木作業員の募集広告を見て面接に行った先の社長に、「土木作業員の仕事は今はないが、生活保護の施設を経営しているので、生活保護を受けてその施設で住めばいい」と勧められ、貧困ビジネス施設で生活を始めることとなり、
      
施設入所後、生活保護の認定を受け、生活保護費の支給を受けて都合1年間、施設で過ごされたことになるようです。
   
役所から月1回支払われる生活保護費(約13万円)は施設が取り上げてしまい、反面、寮は一日3食、貧弱な食事と貧相な部屋が提供します。それに加え、日払いで500円を現金支給します。
 
日払いされるのは 500円なので、月1万5千円。施設は、食費と寮費という名目で 11万5千円を入居者から徴収しているのと同じです。
  
これはボリすぎです。
    
    
酷い搾取をされている入居者は 内心では怒っているのではないかという感想を持ちますが、案に反し、長田さんは、
 
「生活できる場を提供して貰えているだけで有り難い」と、ほとんどの入居者が心から思っているようだと書かれています。
    
予想外の返事に  長田さんも戸惑われたかの感想を漏らされています。
   
寮は暴力団のような勢力の下にあるようではないようですし、暴力や脅迫が支配している場でもないようですので、本心のようです。
   
                    
       
施設がが生活保護受給費を取り上げてしまっていることは目を瞑った前提で考えてみます。
   
入居者に日払いが 1,500円だったとした場合、寮は住居費と食費で8万5千円 を徴収 となります。その場合、その施設を貧困ビジネス施設と呼ぶのでしょう。
 
日払い2,000円なら、住居費と食費は 7万円です。そんな施設を貧困ビジネス施設と呼ぶのでしょうか。
     
              
提供されるサービスの内容とその対価とがバランスしているかが決め手となるようです。
   
貧困ビジネス施設でしか生活できない人の場合には、供給曲線が(そうでない人と違い、)右側に相当シフトしているために、(そうでない人から見れば)ボッタクリに見えそうなことが、ボッタクリではなくて、引き合った価格であるという理解も一つの考え方として あるのではないかの感想を持ちました。
       
    

潜入 生活保護の闇現場 (ナックルズ選書)

  • 作者: 長田 龍亮
  • 出版社/メーカー: ミリオン出版
  • 発売日: 2016/03/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)