昨日の中日新聞28面の県内版に、次の 見出し と リード の記事が掲載されていました。

県警、懸命に魅力アピール

10年で受験者数半減  就活中の学生に

 

県警が、語学や情報技術をはじめ、各種分野での優秀な人材を確保するため、さまざまな工夫に乗り出している。

昨年度の採用試験の受験者数は約三千四百人で、十年前の半分。本年度の受験申し込みの締め切りが今月中旬に迫る中、就職活動中の学生らへのアピールに懸命だ。

(以下の記事本文は省略 )   

 

平成27年版「警察白書」192頁では、地方警察官の警察官採用試験実施状況(平成17年~26年)が公表しています(平成27年版「警察白書」「第6章 警察活動の支え」「第1節 警察活動の基盤」の図表6-3参照)。 

下の図表は公表されているものを引用したものですが、右肩下がりのグラフとなっていません。平成20年から22年にかけていったん受験者数は増加しています。

採用試験受験者については 平成17年の14万2千人のところ、平成26年は9万6千人ですから、おおよそ 3分の2 となっています。  

 

 

中日新聞の記事によると、愛知県警の場合では、10年で受験者数が半減し、昨年は受験者数が3,400人まで減少してしまっているということになります。

トヨタ自動車のお膝元の愛知県では、警察官の志望動向が 全国的な傾向とは 異なっているのかもしれません。その現れが、受験者数が、全国平均では10年前の3分の1減であるところが、愛知県の場合は 5割減だということかもしれません。

調べてみるとおもしろそうです。

 

愛知県警のホームページには平成27年と平成26年の2年分の警察官採用試験の結果しか掲載されていませんが(「警察官採用試験の実施結果」参照)、

愛知県に採用される警察官は愛知県職員というわけなので、愛知県がホームページで 採用試験の実施状況を公表いています(愛知県のホームページ「試験実施結果(データ)」参照)。

そのため、平成18年から平成27年の10年間分の、警察官採用試験の受験者数、警察職員採用試験の受験者数を確認することができます。

 

下図がそれをまとめたものとなります。

記事では「昨年度の採用試験の受験者数は約三千四百人」ということでしたが、昨年度の平成27年度警察官採用試験の受験者数は 2,950人で、3,400人からは 450人ほど足りません。

 

もしかすると、記事の「昨年度の採用試験の受験者」とは、警察官採用試験の受験者に、警察つながりの、警察職員採用試験の受験者を 加えた 人数のことを言っているのかもしれません。

警察職員採用試験の受験者も調べることにしましたが、昨年度の平成27年度の警察職員採用試験の受験者数は 355人ということでした。

愛知県における平成27年度の警察官採用試験と警察職員採用試験の受験者の合計は 3,305人ということになります。その人数が 「約三千四百人」と言えるのかについては疑問がないわけではありませんが、これ以上 は調査不能なので、「約三千四百人」であることにしておきます。

 

次に、10年前の採用試験の受験者ですが、  

警察官採用試験の受験者数は、

平成18年度    4,005人

平成19年度    4,047人、

警察職員採用試験の受験者数の方は、

         平成18年度    548人

         平成19年度    327人

ということでした。 

 

減少は 3割 程度でしかありません。

「受験者が半減」なんてことを言った人など、本当にいるのかという 結果でした。