産業保健に関するセミナーで、産業医の先生が 
 
「日本うつ病学会が2012年に、軽症うつ病において薬物を第一選択から外したガイドラインを定めた」
 
との説明をされていました。
   
確かに、日本うつ病学会のホームページにアップされた、気分障害の治療ガイドライン委員会作成の「日本うつ病学会治療ガイダンス Ⅱ.大うつ病性障害」に目を通してみると、 
   
27頁のまとめの箇所に、
 
「軽症うつ病の治療の基本は、患者背景や病態の理解に努め、支持的精神療法と心理教育を行うことにある。この基礎的介入なしに、安易に薬物療法や体系化された精神療法を行うことは、厳に慎まなければならない。
   
現段階でプラセボに対し確実に有効性を示し得る治療法はほとんど存在しないが、基礎的介入の上で新規抗うつ薬を中心とした薬物療法、認知療法・認知行動療法などの体系化された精神療法、あるいは双方の併用が検討される。実施にあたっては、医師がさまざまな観点から治療選択肢を検討して患者への提示を行い、その上で患者の希望や、費用や治療へのアクセスなどの実件可能性を考慮した上で決定することが推奨される。」
 
と総括的な記述がされています。
     
        
「うつ病の治療 → 薬物療法」との理解をしていましたが、「軽症うつ病」の場合は正しくないと理解しておかないといけないということになります。
       
私は「軽症うつ病」に関するこの知見について、恥ずかしいことですが無知でした。 
      
        
 
(補足)
 
「軽症うつ病」 ですが、ガイドライン22頁では、「DSM-IV-TRにおける大うつ病エピソードのうち、軽症とされるものを指す。すなわち、大うつ病の診断に必要とされる9項目の症状のうち「抑うつ気分」もしくは「興味、喜びの著しい減退」の少なくとも1つを含む、5つ以上(かつ余分ははほとんどない)の症状を同じ2週間以上の間にほとんど一日中、ほぼ毎日有し、加えて就労や就学状況、家事などにおける機能障害等が軽度の患者である。」と定義をしています。