奥付 と 奥書 [豆知識]
民事訴訟では、書証として法律文献などを提出することがありますが、
私は、文献の該当個所のほかに、
書名、著者名、発行年月日、出版社名等がまとめられている「奥付(おくづけ)」と呼ばれているページを、
一緒に提出するようにしています。
(下図の部分が奥書と呼ばれている箇所の例です。)
この「奥付」とよく似た言葉に、「奥書(おくがき)」という言葉がありますが、違いをご存じでしょうか。、
手元にある「岩波国語辞典第6版」で、「奥付」を引いてみますと、
おくづけ 【 奥付 】
書物の終わりにある、著書名・発行者(所)名・発行年月日・定価などを印刷した箇所。
との説明がされています。
「奥書」についても辞書を引いてみますと、
おくがき 【 奥書 】
①写本の終わりに、筆者の名などを書き付けたもの。
一般に、書物の著述・筆写・刊行の年月日等を記したもの。奥付(おくづけ)
②その事が真正・確実であると説明して、書物の終わりに記すこと。
との説明となっています。
この岩波国語辞典だと、
「奥付」 =「奥書」
でもよさそうです。
ですが、出版界で働く編集者や校正者を養成する、日本エディタークスールというところが編集している
「本の知識」という本では、
「奥付」と、「奥書」を、
「奥付」は 洋装本 における本の名称、
これに対して、
「奥書」は 和装本 における本の名称
として分類して、それぞれを次のような説明しています。
奥付
奥付とは、その書物の書誌学的に必要と思われるデータをまとめてしるしたものです。
ISBN一般には,書名・発行年月日・版数・印刷・著訳者名・著作権者名・出版社名とその所在地・電話番号・FAX 番号・ URL, ISBN(国際標準図書番号), その他, 印刷・製本会社名, 著者の略歴などを記載します。書名と著訳者名には, 振り仮名もつけます。
なお, かつては奥付に検印が押されていましたが, 最近ではほとんど省略・廃止されています。
奥書 ( おうしょ )
本の終わりに, その著作その他のことをしるしたものを奥書(おくがきともいう)といいます。
版本(木版本)の場合には, 出版した年月日(刊年という), 発行所(版元という)の住所および名前などをしまします。これを刊記といいます。
刊記は巻末にある場合が多く, その場合はこれをとくに奥付といいます。
「版本の場合には、刊記が巻末にある場合、奥付」と言うということで、その違いを十分理解できていないところがありますが、
それでも、概要としては、
「洋装本の場合は、奥書ではなく、奥付(おくづき)と言んだ」
という理解をしておけばよさそうです。
校正のプロの世界では、そう理解されているわけですから。
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