熔けた 106億8000万円 [感想]
カジノの負けを穴埋めのため、子会社(7社)から累計 106億8000万円を借入れ、特別背任罪に問われた
井川意高氏が書いた「熔ける 大王製紙元会長井川意高の懺悔録」を読みました。
井川氏は本の中で、
取締役であった弁護士2人と警察OBによるチェック機能は全く働かなかった 、
と述べられていますが(大王製紙の 有価証券報告書・四半期報告書参照)、
傾聴に値する話だと思いました。
また、井川氏は、何時、幾らを借り入れたのか、その詳細を載せていますが、
下表がそれを整理した表となります。
106億8000万円が、平成22年(2010年)5月から翌23年(2011年)9月までの 17ヶ月間で積み上がったことが分かります。
平成22年3月時点で井川氏の父親が、井川氏の子会社からの借入れを詰問したそうですが、
その時点の借入れは約 41億円に過ぎませんでした。
それが、半年後には、倍以上の 106億8000万円まで膨らみました。
負けがこんで、前が見えなくなってしまったのでしょう。
見たこともない、眼を剥くような金額なので、井川氏が極悪人でかるかのように思ってしまいます。
ですが、話としては、
若旦那がバクチに嵌ってしまい、バクチの損をバクチで取り戻そうとしたつもりが、却って損を広げ、御店の金を使い込んでしまった、
という どこにでも転がっている話ではないでしょうか。
この事件、平成23年(2011年)11月22日逮捕、同年12月22日に追起訴され、同日に保釈。
平成24年(2012年) 10月10日に東京地裁の第一審判決、平成25年(2013年)2月28日に東京高裁の控訴審判決、同年6月26日の最高裁の上告棄却で、井川氏の懲役4年が既に確定してしまっています。
争点が情状だけだと、こんなにも審理は早く進むのですね。
さぞや、取調べにあたった特捜検事も楽だったことでしょう。
(参考)
グラフの基礎データ
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