SSブログ

森口氏の懲戒解雇 [検討]

東京大学が、「iPS細胞を使って患者計6人に治療を行った」と嘘の主張をしていた医学部附属病院特任研究員森口尚史を同日付で懲戒解雇としたことを一昨日公表しました(YOMIURIONLINEの19日の記事「森口氏を東大が懲戒解雇…5件は虚偽発表と断定」)。

森口氏の行為は、東京大学教職員就業規則 第38条5号が定める懲戒事由、

大学法人の名誉又は信用を著しく傷つけた場合

に該当するので、懲戒解雇としたということです(東京大学のホームページの「懲戒処分の公表について」)。

ところで、懲戒処分をするにあたっては、本人に弁明の機会を与えることが要請され、その弁明の機会を与えずになされた懲戒処分は、懲戒権を濫用した、無効なものであることになります。

このこと、意外に理解されていなのではないかと思います。

東大が森口氏に弁明の機会を与えずに、懲戒解雇とするなどとの チョンボをするわけがないわけですが、

先の公表の中ではそのことが触れられていません。

また、東京大学教職員終業規則を読んでみても、懲戒処分をするにあたって、本人に弁明の機会を与えるなどとは規定されていません。

もやもやが晴れないため、存在するはずである東大の懲戒手続の規定を探してみました。

やっと見つけることができました。

東京大学教員懲戒手続規程 がそれとなります。

同規程第6条では、

調査の対象となる教員に、書面又は口頭による弁明の機会を与えなければならない

と、ちゃんと規定されていることを確認できました。 

森口氏の懲戒処分で、東大が手続ミスをするわけがないことではありますが、

喉のつかえものが取れて、すっきりしました。

   

(おまけ) 

今回の東大の公表は、磯田文雄氏が東京大学理事(人事労務担当)という肩書でなされています(「懲戒処分の公表について」)。

ところで、東京大学基本組織規則を見てみますと、理事の権限等について、第6条の第1項、第2項では、次のように規定がされています。

1項  理事は、総長の定めるところ、理事により、総長を補佐して大学法人の業務を掌理する。

2項 総長に事故があるとき、又は欠けたときは、あらかじめ総長の指名する理事が、その職務を代理し、
又はその職務を行う。

この規定を読む限りは、理事には総長を代理する権限は与えられていないようです。

また、先ほども触れた、東京大学教員懲戒手続規程では、懲戒処分の発令を総長がすると規定しています(同規程第9条)。

なぜ、東京大学理事(人事労務担当)である 磯田文雄氏が、

本学の教職員としてあるまじき行為であり、厳正な措置をいたしました。このような行為を、本学の構成員が行ったことは誠に遺憾であります。

学術研究関係の調査は継続して行い、できる限り速やかに、事実を明らかにしていく所存です。

東京大学理事(人事労務担当) 磯 田 文 雄 

と、懲戒処分を発令する総長が述べるような辞を述べているのか、

調べきれませんでした。 

ちなみに、この磯田文雄氏は、文科省のお役人の方だった方のようです(「役員幹事履歴」参照)。

気分は総長なのでしょうか。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0