ブラック企業と離職率 [感想]
濱口桂一郎先生が「hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)」の中で、「『ブラック企業』というタイトルの本の真打ち登場」と褒めていた
NPO法人POSSE代表の今野晴貴氏著
「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」(文春新書)
をこの土日に読みました。
内容は、確かに、「ブラック企業」をタイトルとした何冊の本のうちで ピカ一 です。
お薦めです。
本の中では、マスコミで叩かれた ウェザーニュースや、大庄。
ワタミ、SHOP 99 については企業名が公表されています。
ですが、無茶苦茶やってても、過労死や、パワハラ訴訟などが起こされていないため、
ブラック企業であることが知られていない、
IT企業のY社や、衣料品販売のX社の企業名は、伏せられています。
こういう X社、Y社 こそ、企業名が公表されて然るべきです。
ですが、企業名の公表に踏み切れば、訴訟提起等の報復措置を、間違いなく採ってくるでしょう。
そのため、今野氏も公表したくても、出来ないんでしょう。
やむを得ませんね。
求職をする企業に、入社した社員の、入社1年後、2年後、3年後の、それぞれの離職率を公表させるようにすれば、
ブラック企業に誤って就職してしまう人も、減ることは間違いないことでしょう。
離職率の高さは、その会社がブラック企業であることのシグナルの一つとなるからです。
離職率の公表は、ブラック企業を淘汰するための重要なツールとなるはずなのですが、
実際には、企業が離職率を公表するというルールなどは定められていません。
厚生労働省は、先月31日、入社から3年以内に離職した人の割合を初めて業種別に公表しました(10月31日の日経電子版「若者3年以内離職率、飲食業など48% 厚労省調査」)。
この厚労省の発表は、若者雇用関連データ の中で公表されているものとなります。
このデータのうちの、「新規⼤学卒業者の産業分類別(⼤分類)卒業3年後の離職率の推移」のところで、
日経の記事にあるような、
大卒者では、教育・学習支援業と宿泊・飲食業が48%という高い離職率を示していること
を確かに確認できます。
業種別だけでも厚労省が離職率を公表することとなったという点では一歩前進だと言えますが、
求人をする個別の企業に離職率を公表させるようにしなければ不十分です。
そんなことは厚労省も分かっているんでしょう。
でも、反対する勢力が強いため、法規整を加えることなどできないんでしょう。
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